事務所からも独立し……

 強い思いを胸に、新しいステージで勝負していくことを決めたのだ。酒井と長らく連れ添ってきた事務所も、そんな彼女の思いを尊重してくれたという。

「事務所には1年くらい前に相談し、何度も話し合いを重ねました。“法子がそう思うのならやってごらん”と背中を押していただきました。

 前の事務所には、8年在籍していましたが、もともと、タレントがいちばんやりたいことに重きを置いてくれましたね」

 ただ、現在の日本は昨年から感染拡大する新型コロナウイルスの影響で生活様式が一変し、芸能界にも甚大な影響を及ぼした。そうした状況で独立することにためらいはなかったのか。

「不安がないわけではありませんが、たとえ世の中が平穏だったとしても、独立することにドキドキすると思います。でも、世の中がこういう状況だからこそ、誰かの笑顔を照らせる光になれたら……という思いのほうが強いんです。

 これまで歩いてきた中で、私はたくさんの人に助けていただきました。そのおかげで今日があると思っています。私にできることは限られているかもしれませんが、デビュー当時から誰かを笑顔にしたいという気持ちが強いので、みなさんが笑顔になれるような仕事がしたいですね」

何事も一歩踏み出して新たな扉を開ける

 ここ数年の酒井は肩にかかるくらいまで髪を伸ばしていたが、現在はデビュー当時と同じくらいのショートヘアになっている。もしかして、これも新たな船出の一環?

「気分転換も兼ねてバッサリ切ったんです。デビューした当時は、ショートで“髪を伸ばしたい”と言っても、事務所の許可が下りなかったことも(笑)。でも、この年になると、誰かに何か言われることもないです。短いほうが私らしいかもしれませんね」

 独立という大きな決断を下したのは、息子からかけられた“愛言葉”の影響もあった。

「息子とはお互い本音で話しています。だから、今回も“応援してくれる人がいるなら、やったほうがいいんじゃない?”と背中を押してくれました。息子は21歳になり、成長を感じるような意見を言うこともあります。彼が成人したことも後押しになりましたね」

 大人になってからも、親子関係は変わらない。