夢を諦めた経験から医療を志す

 福岡県で生まれ育った阪上被告は、高校を出た後、1浪して九州大学に進学した。卒業後はパイロットを志して航空関係の学校に進んだ。

 念願の航空会社に入社するものの、パイロット資格の取得には視力や健康面など厳しい審査がある中で、身体面の問題が見つかり、パイロットになる道は絶たれた。

 具体的にどんな問題があったのかは不明だが、自身の身体の異常で夢を諦めた経験から同じ境遇の人に思いを馳せるようになり、医療を志すようになったという。

 2014年、航空会社を退職し、実家に戻って医学部受験のため勉強を開始。紆余曲折を経て、2016年4月に久留米大学医学部に入学した。このときすでにヘンタイ行為に手を染めていたようだ。

 前出の捜査関係者によると、

「初めに住居侵入を行ったと確認されているのは、2015年の9月。狙ったのは、被告人の近所に住んでいた当時14歳の女子中学生が住む家でした。

 この家では自宅の鍵を家のポストに入れて出かける習慣があり、それを知っていた被告人はこっそり鍵を持ち出し、鍵店で合鍵を複製。度々、勝手口から中へ侵入していました」(同・捜査関係者、以下同)

 同じ家に何度も忍び込んでは、毎回のように下着を盗み出した。気づかれないよう、一度に持ち去る下着の数は1~2点に抑えるよう工夫した。パンティーとブラジャーが一対の場合は、必ずセットで持ち去る徹底ぶり。

 女性の部屋に入り込む“快感”を覚えた被告人の犯行はさらにエスカレートしていく。

「その後、医学部に進学した被告人は、製造番号がわかれば、現物が手元になくても他人の鍵を複製できるとネットで知ったようです」

 女性の部屋では下着を物色する際に記念の動画撮影をしていただけでなく、下着のほか、使用ずみ生理用品まで盗んでいたからおぞましい。

盗んだ下着は一点一点、保存袋に保管し、丁寧に持ち主の名前まで記名していました。金銭の被害は確認されておらず、今回、鉢合わせするまで気づかれなかった」