笑いに長けたMCが救済の手

 そこで、注目したいのがコミカル路線の救済バラエティー。その代表が大晦日恒例の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』絶対に笑ってはいけないシリーズ(日本テレビ系)だ。

 '19年には、ともに不倫で話題になった原田龍二と袴田吉彦がハダカ芸を披露。年の最後にイケメン俳優が裸になって笑いを提供するというのは、みそぎとしてよくできている。視聴者も「笑って許して」やろうという気分になりやすいのだろう。

 ただし、この番組は年1回しかないし、徐々に効力も薄れてきたのか、昨年「多目的トイレ不倫」で叩かれたアンジャッシュ・渡部建には効かなかった。出演の噂が流れた途端、批判の声があがり、復帰が立ち消えになったのは記憶に新しい。

 それでも、ダウンタウンの威光は絶大だ。NHK時代のセクハラを報じられた登坂淳一は『ワイドナショー』(フジテレビ系)で松本人志に突っ込まれることで持ち直したし、飲酒トラブルを松本にいじってもらった前園真聖はいま、この番組のレギュラーだったりする。

 不倫が発覚したばかりのコブクロ・黒田俊介にしても『HEY×HEY×HEY』(フジテレビ系)が毎週放送されていた時代なら、なんらかのフォローが得られたかもしれない。

 そんなコミカル路線の救済バラエティーには『有吉反省会』(日本テレビ系)や『アウト×デラックス』『全力!脱力タイムズ』(ともにフジテレビ系)といったものも。それぞれ、有吉弘行やマツコ・デラックス、有田哲平(くりぃむしちゅー)が達者なトークでスキャンダルを混ぜっ返し「人生いろいろ」的な空気をかもしだしてくれる。

 なかでも、ひときわ異彩を放っているのが『全力!脱力タイムズ』だろう。もともと、ニュース番組のフェイクというコンセプトで、虚実がないまぜとなった笑いが売り。ゲストにはドッキリ的ないじりが待ち受けている。そこであたふたとする姿が意外とにくめないものに映れば、しめたものだ。

 '18年には、矢口真里がアイドルの説明について間違いを指摘するという役割を担わされていた。「清潔感に溢れみんな大好き! テレビに出ずっぱりの矢口真里」という説明に、

いやぁ、もうね、不潔ですよね。清潔感なんて、一切ない。だいたい、嫌われてる。テレビはちょいちょい、ネットがメインです

 と、自虐的なことを言わされ、笑いを生んでいたものだ。いわゆる「クローゼット不倫」のあと『ミヤネ屋』(日本テレビ系)の単独インタビューでの復帰を選んだ矢口だが、評判はいまいちだった。そんなシリアス路線より、コミカル路線のほうが合っているのではないか。