アスリートとしての立場もかなりシビアだ。5月14日に《僕たち選手には変える力がない》と五輪開催について口を開いた体操の内村航平選手。続けて《目の前のできることを、僕は体操選手なので体操をやること、練習すること、試合があればその試合に出ること、これを仕事としてやっている》と、スポーツを“仕事”と言い表した彼も、現在は微妙な立場に置かれている。

メイン会場となる国立競技場。東京五輪は本当に開催されるのか
【写真】錦織圭の元モデル妻は、キスマイ玉森の元カノだった

 3度の五輪出場で個人総合2連覇を含めた計7つのメダルを獲得し、世界選手権でも6連覇を果たした内村選手。そんな世界的“レジェンド”は4度目の五輪出場を目指す今年、コロナ禍による赤字から所属先だった『リンガーハット』との契約が打ち切られることに。現在は自動車販売業者の『ジョイカルジャパン』とプロ契約をして、種目別の鉄棒に絞って出場を目指している。

あの内村選手でさえ契約先がままならない現実。もしかしたら彼らのスポーツは“趣味や遊び、また余暇でやっている”と思われている方もいるかもしれません。

 ですが、ものすごくシビアな世界でしている仕事で、一つの“契約”で人生の全てが変わる選手もいます。それこそ、“五輪に出場する”“メダルを獲得する”を条件に契約を交わしている選手もいるではないでしょうか」(前出・スポーツマネジメント会社営業担当)

アスリートが五輪にこだわるわけ

 一方で、お金の問題もさることながら、アスリートにとってやはり五輪は特別な大会であり「名誉」でもある。

 各競技にはそれぞれの世界一を競う「世界大会」があるのだが、例えば世界柔道(選手権大会)は毎年、世界体操(競技選手権)は2年に1回開催される。以前は4年に1回だった世界陸上(競技選手権大会)も、1991年の東京大会以降は2年に1回開かれている。一方で4年に1回開催される五輪は、注目度から言えば世界大会とは大きな差がある。

「五輪で3連覇を達成した柔道の野村忠宏さんは、“いくら世界選手権で勝っても、日本の皆さんにそれはわかってもらえない。オリンピックでの3連覇にこだわり続けたのは、幼稚園や保育園に通う幼児や主婦の方など、日頃は全くスポーツに関わらない人たちに応援してもらって、メダルを喜んでもらえたというのが自分の中でもすごい喜びだった”と常々話していました。

 普段ならテレビ放送で見向きもされない競技が、つい見入って応援してしまうのも五輪が持つ特別な魅力。やはり、その場に立つことは名誉なことで、彼らアスリートにとっては目標でもあるんですよ」(前出・スポーツ局ディレクター)

 NBAの『ワシントン・ウィザーズ』に所属し、日本人初のプレーオフ進出を果たした八村塁選手。世界で活躍するトッププロの1人に数えられる彼が、昨年12月のシーズン開幕前に、かねてより「夢の舞台」と位置付けていた五輪をあらためて《前からずっと出たいと思っていた大きな大会》と語った。シーズン終了とともに、男子バスケットボール日本代表に合流する見込みだ。