とはいえ、選手を含めて多くの国民が気にするところは、本当にこのまま東京五輪が開催されるのか、というところだ。前出の増島氏は「選手たちの5年を思えば、最大限サイズダウンし、通常とは違う様式になっても、オリンピックを中止にしてほしくはありません」と話す。

出場について前向きな姿勢を示せば、SNSなどに辛らつな批判が寄せられ、選手たちは委縮していました。ワクチンを打つか打たないかも、もちろんコンディションを優先するため接種の選択は自由ですが、五輪特権だと批判されるかもしれない。

 彼らは私たち日本の代表ですから私はどんどん打って欲しい。また選手だけではなく、五輪に関わる1人でも多くの関係者がホストとして打てるような環境整備が重要です。自国で2度の接種を終え、練習も自由、マスクなしの生活を送る国外の選手たちは、検査だけで陽性者を入れない前提の『バブル方式』に、むしろ強い不安を抱くでしょう」(増島氏)

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 コロナが世界で蔓延する今、多くのスポーツ大会で採用されているのが、開催地をバブル(泡)で包むように選手や関係者を隔離して、ダイブとの接触を遮断する『バブル方式』。しかし、全てにおいて後手後手に見える菅首相や小池都知事らトップに「安心、安全な大会」が遂行できるとは思えないのも事実だ。

ボランティア8万人分のワクチン

 JOCの籾井(もみい)圭子常務理事は5月26日、選手を含む五輪関係者へのワクチン接種を始めるにあたり、「高齢者への優先接種に影響を及ぼさない」とあらためて一般人への接種と無関係であることを強調。7月23日の開幕までに対象者に2回の接種が行われ、競技団体のスケジュールは公表しない方針だ。

 6月1日から接種が始まる、IOCが東京五輪のために用意したというワクチンは2万人分。優先される選手団や大会関係者に加えて、例えば選手との距離が近い料理人やベッドメイクなどの選手村や宿泊施設に携わるスタッフは接種できるのかもしれない。しかし、大会組織委員会が募集した8万人とされる一般ボランティア全員には行き渡らないだろう。彼らの「安心、安全」は本当に守られるのだろうか。

昨年の延期から1年経つのに、ワクチン接種はおろか医療体制の改善など、政府は何をやっていたんだ、という話ですよ。それにコロナで仕事を失いかねないのはアスリートだけでなく、すでに全国で1500件(東京商工リサーチ調べ、5月21日時点)の企業が経営破綻しています。全ての国民が我慢を強いられている現状では、日に日に中止を求める声が高まるのも当然なのかもしれません。

 ただ、アスリートを批判するのはお門違い。池江選手が“オリンピックがあってもなくても、決まったことは受け入れ、やるならもちろん全力で、ないなら次に向けて、頑張るだけ”としたように、アスリートは来る日のために粛々と仕事をしているだけ。そこはプロもアマも関係ありません」(前出・全国紙スポーツ部記者)

「安心、安全な大会」とは、“バブル”の中だけの話なのかもしれない。