コロナで縮小! とはいえ……葬儀費用はどれくらい?

 コロナ禍、葬儀の様式は大きく変わってきている。

「コンパクト葬が増えました。大々的なものは社葬くらい」

 と、教えてくれたのは鎌倉自宅葬儀社、自宅葬コンシェルジュの馬場偲さんだ。自宅葬というスタイルがコロナ禍でフィットしたこともあり、

「コロナ以降、この1年は問い合わせが2倍になりましたね」(馬場さん、以下同)

 葬儀場を使わず、病院もしくは施設で亡くなった場合には車両でお迎えし、“帰りたかったであろう”自宅へ安置する。ドライアイスなどの交換は日々スタッフが対応。その際の弔問客にも、

「今は大人数の会食はおすすめしていません。本当に仲のよかった方だけで、例えば故人が好きだった手作りカレーを食べる……などのアイデアなら素敵ですね」

 葬儀でかかるのは結局、通夜ぶるまいなどの飲食費。そこにお金をかけないアットホームな自宅葬は、25万円程度の予算で叶うそうだ。

 さらに“葬儀~墓の予算は、ひと昔前の10分の1程度”と語るのは『ご遺骨サポートこころ』の天井十秋さん。

「なんとなく300万~500万円程度かかるイメージがありますが、いまや30万~50万円程度が相場かもしれませんね」(天井さん、以下同)

 コロナを機に参列者が減った。そして以前のような葬儀社・寺・墓石店が三位一体となったビジネスモデルが崩壊しつつある、と天井さん。

「お通夜や告別式を行わず、火葬だけで見送る直葬(火葬式)なども多いです。墓もなしで自宅に置いておける小さな骨壺ですます手元供養や、海や空、樹木に撒く自然葬もポジティブに受け止められる時代になってきました」

 いまは過渡期。古い“常識”は捨て去り、故人優先。不要なコストはカットしよう。

教えてくれたのは……太田 差惠子さん
介護・暮らしジャーナリスト。NPO法人パオッコ~離れて暮らす親のケアを考える会~理事長。遠距離介護、介護とお金問題などに詳しい。著書に『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社・刊)など。

(取材・文/鷺島鈴香、週刊女性老親コスト取材班)