同年生まれの竹内結子さんの文章

芸能人だからしかたないかといえば、そうでもない。同じ日に発行された桜井亜美の小説『サーフ・スプラッシュ』の解説では別の芸能人がこんな文章を書いていたのだ。

《そんな思いに耽っていると、ふと高校の教室にいた私が見えた。(略)まるでスーパーの棚に陳列されている缶詰みたいに、外の空気と別の世界を夢見ていた》

 広末と同年生まれの故・竹内結子さんの文章だ。

 ただ、これほど繊細な感性や表現力は女優にとって諸刃の剣だろう。このふたつの文章と両者のその後を考えたとき、あまり繊細すぎないほうがいろいろと乗り越えていけるのかもしれない。

 広末は大学を5年で中退。その2か月後、モデルとできちゃった婚をした。以後、離婚とキャンドルアーティストとのできちゃった婚を経て、現在3児の母となっている。

 大学を目指したのは「仕事以外の場所を持ちたかったから」だそうで、多忙な芸能活動からの避難という意味もあったわけだ。イメージダウンにもなったが、おかげで清純派からの脱却もできた。

 前出の解説のなかでも「私自身、とてもプラス思考なので」と自己分析している。だからこそ、どんな「変なこと」もプラスにかえてしまえるのだろう。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。