「昨年の緊急事態宣言明けあたりから、片づけの依頼が引きも切らず。休む暇がありません」と話すのは、整理収納アドバイザーの西原三葉さん。

 西原さんは発達障害のひとつADHD(注意欠陥・多動性障害)の当事者。長年、片づけられずに悩んできたが、認知行動療法を受けて改善、現在は片づけのプロとしてさまざまな家庭を訪問している。クライアントはADHDか、その傾向がある(ADHDタイプ)主婦からの依頼がほとんどだという。

家事の呪縛に苦しむ女性

シェアハウスに住む、単身女性の部屋。足の踏み場もないほどに、洋服があふれ……。「つるせるものはすべてつるし、つるせないものは“とりあえずボックス”に投げ込んで整理しました」(西原さん)

「私自身もそうですが、特性として整理整頓や、段取り作業を苦手とする人が多い。特に家事はマルチタスク(同時作業)なので、要領よくこなせないと苦しんでいる主婦の方が多いんです。でもそれは自身の女性としてのある意味“恥部”だから、友人にもなかなか相談できません。同居する家族の冷たい視線や心ない言葉に長年耐え続けている人もいます」

 特にコロナ禍となって家族が家にいる時間が増え、主婦の家事、育児にまつわる作業量は格段に増えた。「妻、主婦、母なんだからやって当たり前、できて当然」。昭和に育った女性たちには、まわりからのそんな呪縛も多い。ADHDやADHDタイプの人は、常識、思い込み、当たり前といったことにとらわれやすく、自分をしんどくさせてしまっているという。

「片づけが苦手」と悩む人の多くは、自分の性格なのだと考えているが、ADHDは「脳のクセ」。本人の性格や育った家庭環境も一般的には関係なく、脳機能の発達の凹凸(偏り)が原因だと考えられている。