「2015年に亡くなったおじいちゃんが、自分で自分を撮影した写真を遺影にしていたんです。僕もそのころにはカメラを持っていたし、写真にも興味を抱いていたのに、おじいちゃんとは写真の話をしたことも、彼を撮影したこともなかった。そのときの後悔を二度と繰り返したくなくて、今度は自分が大切な家族の写真を残していこうと決めました」

かけがえのない“一瞬”を大切に

 桜の木の下、藤の花の下、ひまわり畑、コスモス畑……四季折々の美しい景色のなかで、おばあちゃんと柴犬が寄り添い合う写真が、Twitterで大きな反響を呼んでいる。撮影者は、被写体となっているおばあちゃんの孫であるYASUTO(@yasuto8888)さんだ。

「ポートレート撮影が好きだったおじいちゃんは、ずっとおばあちゃんをモデルにしていたみたいです。今年の1月、おばあちゃんの米寿のお祝いをした日に、おじいちゃんが撮影した写真のアルバムを見せてもらいました」

 その中の1枚に、幼いころのYASUTOさんが不機嫌な顔をして写っていた。「このとき、どうしてYASUTOが怒っているのかわかる?」と聞いてきたおばあちゃんだったが、YASUTOさんはその理由をまったく覚えていない。

「“たこ焼きが最後の1個で、YASUTOが食べたかったのに、おばあちゃんが食べちゃったからよ”と説明を受けました(笑)。ああ、写真って“その瞬間”を鮮明に残してくれるパワーがあるんだなと、再認識したんです」

 1枚の写真が残してくれた小さなエピソード。数十年前の出来事なのに、まるでついさっき起こったかのように話してくれるおばあちゃんの姿を見たYASUTOさんは、データで残しておくだけではなく、プリントアウトをして形に残す大切さを実感したそう。

おばあちゃんの撮影は「この写真が始まりの1枚」だと教えてくれた 提供:YASUTO

 平日はサラリーマンとして働くYASUTOさんは、休日に撮影スポットの候補地を回る。季節ごとに咲く花の、ベストなタイミングを撮影日に充てるための下見だ。

「いちばんいい日をおばあちゃんに使いたいと思っていて、次は紫陽花(あじさい)のきれいな場所での撮影を予定してるんです。おばあちゃんは膝があまりよくないので、なるべく身体に負担をかけないよう、基本的には座るスタイルで撮影し、できる限り短時間で済ませるようにしています」

 カメラに収めたものは必要以上に加工をしない、というのがYASUTOさんのポリシー。

「写真は写り込んだものがすべてだと思っています。例えば、他の人が写り込んでいたとしても、消すという行為はなるべくしたくない。そのため、人が少ない早朝を狙って撮影することが多いですね。おばあちゃんも朝に強いので、“朝なら何時でもいいよ!”って言ってくれるからすごく助かります(笑)」