ブランド主義者が「地味な幸せ」をありがたく思えるのか

 例えば、週末に夫が妻と子どものためにカレーを作ったとしましょう。シロウトの作るものですから、プロと比べれば味は劣るかもしれませんが、家族にとっては楽しい食卓になるはずです。しかし、こういう「地味な幸せ」の良さは、家庭内でしか通用せず、他人に証明しにくいものです。

 それに対して、女子アナとデートした、予約の取れない有名レストランで食事をした、子どもを名門小学校に入れた、事業で過去最高の業績を記録して有力紙に取材されたなど、ブランドが絡む事柄は、多くの人から賞賛もしくは羨望されやすいものです。「稼ぎすぎる男性」「超ハイスペ男性」はブランド競争の覇者と言えると思いますが、子どものころからブランド的価値観を嫌というほど叩き込まれてきたであろう彼らが、結婚したからといってすぐに「地味な幸せ」をありがたく思えるのかというと、私には疑問です。

 結婚はメリットがないと成立しませんから、男女とも社会的ブランドを持っている人が有利です。しかし、結婚生活にブランドは必要ありません。結婚前と結婚後で求められる資質が違うのが、結婚生活の面白さ、難しさではないでしょうか。

 家庭に入っていっさい仕事はしないというのなら別ですか、女子アナが仕事を続けたいのなら、大富豪ではなくフツウの富豪、もしくは安定したサラリーマンをパートナーにするほうがいいと思います。

 具体例を挙げると、カトパンの先輩にあたる高島彩アナウンサーは人気デュオのゆず・北川悠仁と結婚し、お子さんをもうけながら『サタデーステーション』(テレビ朝日系)のメインキャスターとして活躍しています。同じくフジテレビの先輩、ショーパンこと生野陽子アナウンサーは同期入社のアナウンサーと結婚しました。現在、第二子を妊娠中だそうですが、大企業の福利厚生をフルに使って、仕事を続けるのも賢明な方法でしょう。

 家庭生活に喜びを見いだせないこと以外にも、ブランドを重んじる人には厄介な点があります。それはコレクターになりがちなことです。ブランド主義者界隈では、エルメスのバッグを1つ持っているより、10個持っている人のほうが断然価値があります。「私は10個も欲しくない。1つしか持っていないけれどこれが気に入っている」と心から思っていたとしても、ブランド主義者にとっては「手に入れられない、敗者の言い訳」でしかないでしょう。人より多くを持っていることが価値と思いがちなのが、ブランド主義というものなのですから。

 カトパンのお相手は、2015年に『FRIDAY』でTBSの出水麻衣アナウンサーと路チュー写真を撮られています。独身時代の交際ですから、他人がとやかく言う必要はありませんが、人気女子アナ2人と交際や結婚をしたのが偶然なのか、それともコレクター精神ゆえのものなのか……。ちょっと嫌な予感がしないこともありませんが、どうぞ末永くお幸せに!


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」