コロナになんか負けませんよ!

 現在は笑い声あふれる家の中心である香葉子さんだが、幼いころには東京大空襲を経験し、両親家族のほとんどを失いながらも激動の時代を生き延びてきた。そんな彼女はこのコロナ禍をどう見ているのか?

コロナのこの時代、みんな仕事がない、物がないから大変だって言ってるでしょう? あたしは戦災孤児ですからね、雑草を食べて生きたんです。

 親を亡くした小学校5年生の女の子が、焼け跡でお鍋を拾って、壊れた水道管から水をくんで、煙が出ているところに行って火をもらってきて……はこべ、あかざ、つるむらさきなんかを、味もなにもつけないで、それで空腹をしのいだの。

 だからね、今はなんでも、例えば新聞紙一枚だってありがたいと思います。戦中をくぐり抜けた人はみんな元気です! コロナになんか負けませんよ!」

 そんな芯の強さを持って生きてきた女性である香葉子さん。現在、気になる男性は?

「恋愛なんて……テレビに出てる孫が好きな俳優さんだとか、立派な人だなと思う人はいますけど、恋愛は対象外。あたしは夫(初代林家三平)以外の人は知りませんから。

 お見合いで結婚したんですけど、ほんとに勝手なことばっかりする人で……向こうもそう思ってたでしょうけど(笑)。いろんなことがありましたが、芯からあたしのことを思ってくれた人は夫以外いませんの」

 それもそのはず、大家族を守り続けているのが、何よりの愛情の証拠だ。最後に変な質問してしまって、どうも、すいません!

PROFILE●海老名香葉子(えびな・かよこ)●1933年、東京本所生まれ。1940年、東京大空襲にて肉親と死別。初代林家三平の妻にして、一門を代表する“おかみさん”として知られる。エッセイストや作家として、自身の体験や、戦争体験を伝える活動や講演などで現在も全国を回る。

(取材・文/高松孟晋)