コロナのため通常は行われている集団1か月健診などは中止となったが、近所の児童館が開催するパパママの集まりに参加してみたところ……

「わずか2時間でも妻に1人の時間ができればいいかなと思ったんですが甘かった。

 参加したのは、うち以外みんなお母さんたち。男は私ひとりだったんです。そのときに浴びた白い目が怖かったですね。

 直接は言われませんでしたけど、“なんで男が来るんだよ”とでも言いたげな顔というか。連絡先は私だけ誰とも交換できず、失敗したなと思いました。帰って妻にその日のことを報告したら案の定“余計なことすんな!”と怒られて」

 結局休暇の3か月は、会社からも妻からも冷たい対応を受けた。

「復職して、育休を評価してくれる社外の人と話したときはほっとしました。やっぱり社会とつながっていないと不安になると痛感しました。2人目を授かったとして、また育休をとるかと聞かれたら、答えはNOです」

育休取得で出世コースからはずされた

 マタニティーハラスメントならぬパタニティーハラスメントを受けたというのは都内在住の大橋タカシさん(仮名・36歳)。

 某食品メーカーに勤める大橋さんは5年前に長男が生まれて1度目の育休を取得。そして3年前に次男が生まれて2度目の育休を申し出た直後に、地方への転勤を言い渡された。

「1度目の育児休業の後、上司から“子どもはひとりっ子にしろよ”などとハラスメントを受けました。要するにもう育休はとるなという忠告でした。

 それでも1人目のときは上層部が育休をとることに積極的だったため、嫌みを言われる程度でした」

 営業職をしていた大橋さん。取引先でも「育休をとった社員」としてそれが売りにもなっていた。風向きが変わったのは、2回目の育休申請のとき。

「当時とは違う上司だったのですが、吐き捨てるように“2人目はアウトだろ”と言われました。

 嫌みだと思って受け流していた私に待っていたのは茨城への転勤でした。それは出世をはずれるという意味が含まれていました」

 大橋さんは会社の体制への不満を募らせ退職。仕事ぶりを評価してくれ、取引先の飲食店が好待遇で転職を受け入れてくれたという。