健康な足指は「開く」「握る」「動く」


電車が揺れたとき、両足を開くとふんばれる。小指を開くと身体が安定するのも同じこと

電車が揺れたとき、両足を開くとふんばれる。小指を開くと身体が安定するのも同じこと

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 では、どのような足指が健康なのか。倉さんが挙げるのは、「足の小指がしっかりと外側へ開く」「小指に力を入れて固く握ることができる」「足の小指を思いどおりに動かせる」。小指はいちばん外側にあるからこそ、すべての鍵になる。

 まず、足の小指が外側へ開くメリットは、足裏の面積が広がること。

「身体を家に例えると、頭から骨盤までは地上の『家』。脚(左図)は地中に埋まっている『杭』、足の指は杭や家を支える『地盤』といえます」

 小指をしっかりと外に開くことで「地盤」が広くなり、「家」は安定する。これは、揺れる電車で、足を広げたほうがふらつかないのと同じ。

「外出中、靴の中で1ミリずつでもよいので小指を広げることを意識するだけで、開く範囲が変わってきますよ」

 また、包丁やゴルフのクラブなど、手で強く上手に握るためには、小指に力が入ることが必須だ。

「それは足も同じ。『地盤』を固め、『家』を支えるためには、足指、特に小指のグリップ力がものをいうのです」

 私たちの身体は、足の小指も含め、全身の筋肉が「筋膜」という一枚の膜で覆われている。そのため、小指を動かすと、筋膜や筋肉に引っ張られ、ほかの指や、足首なども自然と動くようになる。

「つまり、小指を器用に動かせれば、全身の動きがよくなります。すると寝たきりの原因になる転倒やケガを予防できますし、歩行が安定すると、ひざや腰への衝撃がやわらぎ、痛み、しびれなどの不調改善へとつながるのです」

身体の安定の鍵は足指の“開き”

イラスト/水口アツコ
イラスト/水口アツコ

 足の外側にある親指と小指を開くと身体は安定。特に身体の外側にあたる小指を開くことは重要。

足の小指が“第二の心臓”を動かす

「筋膜」を通じた足の小指と足全体の連動は、もうひとつ大きな力を秘めている。

「それは、足の小指を力強く、思いどおりに動かせれば、“第二の心臓”と呼ばれるふくらはぎも動くこと」

手の小指を握って開くと前腕の筋肉が動くように、足の小指がグーパーできるとふくらはぎの筋肉が連動
手の小指を握って開くと前腕の筋肉が動くように、足の小指がグーパーできるとふくらはぎの筋肉が連動

 腕まくりをして、手の指をしっかりと「グー」「パー」をすると、手首とひじの間の前腕の筋肉が動く。足の場合は、小指を固く握り、開くと、ふくらはぎが同様に動く。ふくらはぎは、血液を心臓に戻し、リンパ液など体液を身体中に送るため、“第二の心臓”と呼ばれる。

「ふくらはぎが動けば、そのポンプ機能により、足の先までスムーズに血液が流れます。冷えやむくみが改善し、足の重さ、だるさが回復しやすくなります。ただし、順番はあくまで足指の運動が先です」

 足の小指を目覚めさせる方法は、簡単なやり方でOK! まずは家事や仕事をしながらできる運動を続けてみよう。