食べてもやせていく→「糖尿病」

「例えば、ポテトチップスとコーラだけで夏中過ごしていたら、秋口から突然やせ始める。食べているのに、どんどんやせていく。これは『急性糖尿病』の症状なんです」

 と秋津先生。食事でとった糖質は体内で吸収され血糖に変わる。血糖は筋肉などを動かすためのエネルギー源だ。

「ところが急性糖尿病になると、血糖がすべて尿に出てしまう。その結果、栄養失調のような状態になり、やせていくわけです」(秋津先生)

 血糖値の高い状態が長年続く『慢性糖尿病』の場合も同様に、「食べても食べてもやせていく」ことがある。

「慢性糖尿病が悪化すると全身へ適切な栄養の供給ができなくなり、やせていきます。また血糖に変わるエネルギー源として脂肪が分解され、ケトン体という物質が分泌されます。これが増えると脱水症状を起こしたり、放置すれば昏睡状態になったりするなど、命にかかわるおそれもあります」(植田先生)

夜中だけトイレに行く回数が増える→「心不全」

 夜中に何度もトイレに起きてしまう……。読者世代には思い当たる人も多いのでは?

「夜中だけトイレに何度も起きて、しかも足のむくみを伴う人は要注意。心不全のおそれがあります」(秋津先生)

 血管が詰まる病気などで心臓の力が弱まると、足にたまった水分を心臓まで引き戻す力も弱くなり、夕方になると足にむくみが生じるように。これが心不全の症状のひとつ。こうなると、たまった水分を腎臓まで運ぶことも難しい。

「寝るときに身体を横にすると、たまっていた水分が腎臓に運ばれ尿が作られます。そうして夜間に不要な水分を排出しようとするため、尿量が増えるのではないかと考えられています」(秋津先生)

 ここで気をつけたいのは、あくまで“多尿”であって“頻尿”ではないこと。

「頻尿の場合、トイレの回数が多くても、尿はあまり出ないことが多い。用を足すたびにまとまった量の尿が出るならリスク大です」(植田先生)

原因不明の腰痛→「うつ病」

 全国2800万人が悩んでいる国民病の腰痛。温めたり、マッサージをしたり、いろいろ試しているのに治らなかったら、こんな可能性が。

「慢性腰痛の場合、身体より心の問題が痛みにつながっていることが最近の研究でわかってきました」

 と、植田先生。『ドーパミン』や『セロトニン』といった脳内の神経伝達物質には、痛みを抑制し、軽減させる働きがあるといわれている。これらは日常的にストレスを受けると分泌機能が低下し、痛みを抑えられなくなるという。

「そもそもドーパミンやセロトニンは、不足すれば、うつ病を引き起こすといわれているもの。うつ病になると痛みをより感じやすくなり、悪循環に陥ってしまいます」

 適切な量の向精神薬や抗不安薬を服用することで、うつ病だけでなく、腰痛が軽減される効果も期待できる。

「整形外科で治らなければ、1度、心療内科へ相談に行くことをおすすめします」