5番目は……探偵。全部で55作品。この中の実に約42%が日本テレビ系というのも面白い結果でした。近年も『美食探偵 明智五郎』(2020年)、『ネメシス』(2021年)など、順調に数字を伸ばしています。

 6番目は……弁護士。全部で37作品。『リーガル・ハイ』(2012、2013年)や『SUITS/スーツ』(2018、2020年)など定期的にこのジャンルに作品を送り込んできているのが、フジテレビ系で全体の約38%を占めています。

 またフジテレビ系は、法曹ドラマの開拓も試みており、検察官を主人公にした『HERO』(2001、2014年)や、裁判官を主人公にした『イチケイのカラス』(2021年)と意欲的に幅を広げている感も。

 7番目は……編集者。全部で36作品。これは近年増加傾向にあって、今年=2021年だけでも『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)、『リコカツ』(TBS系)、『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています』(日本テレビ系)と3作品もあります。

 続いては、『書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活』(テレビ朝日系)や、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)、『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)など、これも近年増加している作家(脚本家・漫画家含む)が、27作品。

『グランメゾン東京』(TBS系/2019年)や、『シェフは名探偵』(テレビ東京系/2021年)など、これも根強い人気を誇る料理人は、23作品でした。

 どうです? 皆さんの予想した通りでしたか?

“職業ドラマ”の役割

 これまで触れてきた職業は、ある程度イメージの固まったもの。マァそれも、ドラマが作ったものかもしれませんが。だからこそ、細分化してみたり、視点を変えてみたりと、様々な工夫を凝らしています。そして、さらなる“鉱脈”を探すべく、恐らく今日もどこかで新たなジャンルの職業を模索し続けているはずです。

 例えば、『海猿 UMIZARU EVOLUTION』(フジテレビ系/2005年)で魅力的に描かれたことが、過酷かつ認知度も高くなかった海上保安官の志望者を激増させるという現象を生み出したように、ドラマで描かれた職業が、社会的な意義を持つことだってあります。

 これからの社会を担う子どもたちが憧れるような、魅力的な“職業ドラマ”の登場を期待したいものですね。


小林 偉(こばやし つよし)Tsuyoshi Kobayashi ◎メディア研究家
メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。