それでは、最大でどの程度の罪になるのか。

「4~5人の被害が起訴されることになれば、15~20年という求刑になってもおかしくありません。殺人事件での刑の相場が、おおよそ12~15年くらいなので、殺人事件を犯したのと同等の扱いになるということになります」

精神的な異常が認められた場合は

 一方で、懸念すべき点もあるようで……。

「今回の容疑者の供述を見ていると、精神的に正常な状態だったのかという点が気になります。異常が認められた場合は、少し話が変わってきます……」

 容疑者は二十代前半まで普通に生活をしていたが突然、社会から脱落しており、

「“スクランブル交差点を爆破する”と供述するなど、言っていることもまともではありません。もしかしたら、妄想型の統合失調症の症状があったのではないか」

 成人後に発病することが多いこの病気にかかると、幻覚や妄想の症状が現れ、社会生活を送ることが困難になる。

「今後、精神鑑定などを行うことが予測されますが、もし精神疾患が認定されれば、その重度によっては、刑が軽くなることもあり得ます」

対馬悠介容疑者の暮らす自宅アパート。窓には大きなヒビが
対馬悠介容疑者の暮らす自宅アパート。窓には大きなヒビが
【写真】ニヒルな笑いを浮かべる高校時代の対馬容疑者

 確かに、中央大学の理工学部に入れるだけの頭脳をもった人物がサラダ油をライターで発火させられると考えているなど、まともな精神状態だったとは思えない犯行だ。

「一部では容疑者が生活保護を受けていたという報道もあります。36歳で、外見的には健康そうな男性が、そう簡単には生活保護を受けられません。もしかしたら、何らかの医療行為を受けていたのではないでしょうか」

 これらは、あくまで推測に過ぎないが……。

「場合によっては、刑務所よりも病院に入ってもらう方が良いとなるかもしれません」(田中弁護士)

 刑法では精神に異常のある者は無罪もしくは減刑にすると定めており、より早く、容疑者が「野に放たれる」可能性もあるのだ……。

 もし病気が事実だったとしても、容疑者の犯した罪はとてつもなく大きい。治療を行っても再犯を完全に防止できる保証はなく、多くの人が不安に感じることだろう。司法はどう判断するか。