偉大な父を持つ息子の行動原理

 反対に、初代運に長けた家というのも、「家を大事にする」傾向が強いように思います。一代で財をなした実業家が代表例ですが、小澤家も似たようなものでしょう。昭和の時代に、クラシックの本場で東洋人が指揮者になりマエストロと呼ばれるまでのぼり詰めることは、どれだけ大変だったかは想像に難くありません。そんな偉大な父を尊敬するあまり、父親の顔色を深読みする“父親第一主義”になっても不思議はないでしょう。

『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演した征悦は、後輩の俳優・和田正人からのタレコミで「品格のある女性を好む傾向にあり、ブランド好き」とヤバい人のように言われていましたが、そりゃ、世界の巨匠にフツウの女性は紹介できないでしょうよ。

 征悦と言えば、フリーアナウンサー・滝川クリステルと交際し、結婚間近との報道もありましたが、破局しています。『女性自身』の記事(2015年3月31日配信)は、原因をマエストロの反対としています。慈善事業や仕事に没頭する滝クリは交際する分にはいいが、嫁としてはどうなのかと反対したのだそうです親が反対したくらいで別れるなんてヤバいと思う人もいるでしょうが、偉大な父を持つ息子が“オトコのファザコン”化した場合、「お父さんの言うことはすべて正しい」と盲目的に信じ、判断に従ってしまうことはありえます。

 征悦と桑子アナが区役所に婚姻届けを出したのはマエストロの誕生日だそうです。結婚記念日を忘れないために、夫婦どちらかの誕生日に入籍したという話を聞いたことがありますが、父親の誕生日を選ぶという話はあまり聞いたことがありません。この事実ひとつとっても、いかに征悦にとって父親の存在が大きいかがわかるというものではないでしょうか。

 そのマエストロも御年86歳。『週刊女性』(2020年5月12・19号)は《桑子真帆アナと熱愛発覚の小澤征悦、父の小澤征爾は1日5分『付き添い散歩』の日々》と報じています。マエストロとて寄る年波には勝てませんから、こうなると征悦は一刻も早く結婚しなくてはいけなくなるでしょう。ですから、多少のことはどうにかなります。幸い、桑子アナはNHKの人気女子アナというブランドがありますから、世界のオザワ家の嫁としてどこに出しても恥ずかしくない存在です。このように、通常なら横やりが入ってもおかしくないのに、とんとん拍子に結婚が決まることがあることから、「結婚はタイミング」と言われるのだと思います。

 人に後ろ指をさされるようなことはしないに越したことはありませんが、人間ですからいつも正しくは生きられないでしょう。世の中には逆恨み的な発想をする人もいますから、いきなり言いがかりをつけられることがないとも言いきれません。しかし、結婚は人格証明書ではないので、「いい人」「正しい人」がするものではないのです。タイミングが合うかどうかが一番大切で、相手の価値観をつかさどるキーパーソンを見つけることで、タイミングをぐっと近づけることができるのではないでしょうか。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」