美味しくて健康的、日本の食文化に貢献した本に賞を与える料理レシピ本大賞。第8回となる今回は、オンラインで授賞式が行われました。本を知り尽くした書店員と料理を極めたプロが選んだ11作品。ぜひ書店でチェック!

料理レシピ本大賞授賞式の様子

 2014年にスタートした『料理レシピ本大賞 in Japan』。それまで書籍の価値を示す賞といえば、ほとんどが文芸やエッセイ、絵本やコミックを対象としたものだったが、「料理レシピ本には多くのファンがいて、ベストセラーも多数ある。もっと書籍としての魅力をアピールしたい」という書店員の思いから発足。第8回となる今回もレシピ本、子どもの本、エッセイ、コミックなどさまざまな本がエントリー。コロナ禍で料理をする人が増えた影響もあり、簡単にできるスープや自炊の本が目立った。9月にはオンラインで授賞式が行われ、受賞者が喜びのコメントを披露。

 料理部門の大賞に輝いたのは、滝沢カレンさんの『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)。《おしょうゆを全員に気付かれるくらいの量》《無邪気にこんちくしょうと混ぜてください》など、通常のレシピ本の常識をくつがえす表現でありながら、見事に料理が完成するレシピを30種掲載。うれしさに号泣しながら画面に登場した滝沢さんは、

料理は生のものですが、同じように生のものである感情を組み合わせて、料理にまつわる物語を作りたくて、料理をしながら出てきた感情をそのまま書きとめました。食べ物から湧き上がってくる気持ちを多くの方と共有できたら」とコメントした。

 料理部門で入賞した『野菜はスープとみそ汁でとればいい』(新星出版社)の著者で、料理愛好家・編集者の倉橋利江さんは「野菜をたっぷりとりたいと思っても、忙しい中で何品も作るのは非現実的。“野菜はスープとみそ汁でとればいい”と決めれば、気持ちが楽になり、ごはん作りの苦しさから解放されます。野菜を切る手間も面倒なので、玉ねぎを1個丸ごと使うなど、種類をしぼってどっさり使うやり方もご紹介しています」と語った。

「レシピにおさまらない気持ちも表現したくて、料理にまつわる独り言や詩のような言葉も載せました」と高山さん
「レシピにおさまらない気持ちも表現したくて、料理にまつわる独り言や詩のような言葉も載せました」と高山さん

 同じく料理部門で入賞した『自炊。何にしようか』(朝日新聞出版)は、料理家・文筆家の高山なおみさんが1人分の自炊アイデアをまとめた一冊。「朝食」「昼食」「夕食」「お客さんが来た時」などを柱に全100レシピを紹介している。2016年から神戸でひとり暮らしを始めた高山さんはこう語る。

「自宅が急な坂の上にあるので気軽に買い物に行けず、家にあるものでできる料理を考えるようになりました。毎日家で書き仕事をしながら、しょっちゅう冷蔵庫を開けて“昼や夜のごはんは何にしよう?”と考え続けた自炊のアイデアが詰まっています」

 最後は実行委員長の加藤勤さんが登壇、 「来年にコロナが収束していたら、ぜひ料理を食べながらのイベントをして、みなさんに喜んでいただきたいですね。また日本のレシピ本を海外にも発信していき、料理レシピ本大賞を来年以降も盛り上げていきたい」と意気込みを見せた。

司会は今年もキャイ〜ンの天野ひろゆきさん。授賞式を無事終えて、実行委員長でブックスタマ社長の加藤さんと
司会は今年もキャイ〜ンの天野ひろゆきさん。授賞式を無事終えて、実行委員長でブックスタマ社長の加藤さんと

 受賞作品は全国書店で手に取ることができるので、ぜひチェックしてみよう。