自分はね、街を歩いちゃいけない存在なんだなって言い聞かせてるんですね

 これはどういうことかというと「お金を出してくれるファン」のためには、自分は特別な存在でなくてはならず、

街でインスタントにね、見る人がいちゃいけないんじゃないかなって

 というわけだ。

 つまり「ありんこ」で終わりたくなかった彼は「スター」とは何かを考え、そのイメージに忠実であろうとした。その大まじめぶりがかえって面白がられたりもしたが、今では面白がられることも含めてスターなのだという境地に達しているようだ。

 というのも、最近出演した前出の3番組すべてで、彼は同じファッションをしていた。白いTシャツとブルージーンズの組み合わせだ。あのころを知る人に懐かしがられることを踏まえての自己顕示も兼ねたサービスである。

 思えば、栄作が大活躍した'90年代はスターのスターらしさが面白がられた最後の時代だった。反町隆史は「言いたいことも言えない」と全力でシャウトし、木村拓哉は「キムタクと呼ぶな」と本気で怒り、織田裕二は映画監督と大ゲンカ、加勢大周は坂本一生と芸名をめぐってモメたりした。ベテラン勢では、田村正和さんもまだ恋愛ドラマをやっていたし、勝新太郎さんだって生きていたのだ。

 栄作の再婚報道のおかげで、そんな時代がちょっと懐かしくなってしまった。気分は平野ノラ、である。

ワコール「Date.」新商品&新CM発表会での平野ノラ('19年3月)
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【写真】吉田栄作の元嫁「唇オバケ」と言われた平子理沙
PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。