うつ病患者の治療でも使う筋肉

 東洋医学には「経絡」というエネルギーの通り道のような考え方があるが、胸鎖乳突筋にはストレスと関係の深い消化器の経絡が走っていて、さらにツボも5つある。東洋医学の立場からすると、まさに宝の山ともいうべき部位なのだ。

 船水さんもうつ病患者を治療する際に、この部位を鍼で治療しているという。

鍼灸師、あんま・マッサージ指圧師の船水隆広さん
鍼灸師、あんま・マッサージ指圧師の船水隆広さん
【イラスト】ストレス解消に効果あり!「首筋はがし」のやり方

「うつの患者さんは痛みに敏感なので、治療するときは私が開発した『刺さない鍼』を用いています。細い金属の棒を皮膚に当て、振動を与える方法です。首のこりだけでなく、不眠などうつ症状が改善する患者さんが多くいます」

 そこで今回、自律神経が乱れがちな季節に、この最新メソッドをストレス対策のセルフケアとして紹介することに。先ほどの8人が行ったのがこのセルフケアだ。

実験で確かめられましたが、鍼の刺激のかわりに指で胸鎖乳突筋を軽く叩いたりすることでも副交感神経の働きを高めることができます。私が行う鍼治療の5~6割くらいの効果があるのではないかと考えられます。

 揺らす際は、硬くなって首にくっついてしまっている筋肉をはがすイメージで行ってください。1日のうち、いつでも気づいたときに行えばOKです。いちばんの注意点は、強く叩いたりもんだりしないこと。少し物足りないぐらいがちょうどいいです

 全部を行っても30秒ほどなので、家事の合間やテレビを見ながらでもできる。気軽にできる「首筋はがし」でストレスやイライラを流し、身も心もスッキリさせよう。ぜひ一度、試してみてほしい。

◆実践者の喜びの声!

肩や首がこっているのですが、胸鎖乳突筋をつまむとすごく硬いことに気づきました。セルフケアをやると気持ちよくて、こりが和らぎました。簡単にできて効果があるので、とても気に入りました。(40代女性)

これまで耳鳴りに困っていたのですが、完全に消えることはなかったものの、気にならないくらいのレベルにまでなりました。(50代男性)

毎日下を向いて仕事をするため、肩と首のこりに以前から悩まされていたのですが、呼吸がラクになったからか、肩こりが改善しました。簡単なので、これからも毎日行って首こりもよくなったらいいなと期待しています。(40代女性)