「10%の才能と20%の努力、そして30%の臆病さ、残る40%は“運”だろう……な」

 これは、人気漫画『ゴルゴ13』の主人公で超A級のスナイパーであるデューク・東郷が「プロとして成功する条件は?」と聞かれた際、作中で答えた有名なセリフだ。

 単行本が201巻を突破し、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定された『ゴルゴ13』を生んだ“劇画の父”と呼ばれるさいとう・たかをさんが9月24日、84歳で亡くなった。

「朝からステーキ肉を食べる」

「さいとう先生は中学卒業後、大阪府内の実家で営んでいた理髪店で働き始めるも、'55年に『空気男爵』でデビュー。当時流行していた貸本向け漫画の中心的な存在となっていきました。

 しかし、漫画に専念するために理髪店を辞めたところお母さまが激怒し、それ以降漫画自体を嫌うようになってしまい……。先生が漫画家として大成した後も、お母さまは亡くなる直前まで先生の漫画に触れることすらなかったそうです」(出版社関係者)

『サバイバル』シリーズや『台風吾郎』シリーズ、『鬼平犯科帳』シリーズなど多くのヒット作を世に送り出し、数々の漫画賞も受賞した“大御所作家”。さいとう先生の素顔もゴルゴさながら、紳士的な人物だったという。

「お酒が好きで、以前は石ノ森章太郎さんや藤子不二雄Aさんと、銀座のお店などによく通われていました。でも、ワインやシャンパンなどを飲んで派手に遊ぶという感じではなく、ウイスキーを飲まれて、2時間ほどで帰宅されるというパターンがほとんど。

 酔った姿は見たことがなく、ゆっくりと落ち着いたトーンでお話しする“ダンディ”な方でした。周囲に威張ることはなく、お店の従業員にも優しく接しており、人の悪口を言うことも決してありませんでしたよ」(さいとう先生の知人)

 お店で居合わせたほかの客からは「本当に80代?」と驚かれるほど、若々しかった。

「80歳を超えても、食とファッションにすごく興味がある方でした。お肉が大好きで、“朝から赤身のステーキ肉を食べている”と話していると聞いて驚きました。

 ファッションは基本的に奥さまがコーディネートしてくれていたそうで、それがとてもセンスがいいんです! 朝起きたら、ワイシャツとネクタイとジャケットなどの服装が用意されていたと聞きました。だから先生もファッションに関心が強いのかなって」(同・前)