国会で「自民党が死んだ」として喪服姿で数珠を手に焼香をするふりをしたり、園遊会で当時の天皇陛下に手紙を渡そうとしたり。そのつど叩かれ、ときには処分も受けたが、これが一部の熱狂的な支持も生んだ。いわば、奇抜なネーミングと過激なパフォーマンスでここまでやってきたわけだ。

 もっとも、こんなに目立つことができる政治家は少ない。これもひとつの才能だろう。実際、彼はなかなかの自信家でもある。政界進出前の2012年に出した本の中では、こんなことを言っていた。

《国会に行ってる人たちって全然勉強してないじゃないですか。あのレベルでいいんだったらなれないこともないだろうなと思うんですけど(笑)。でもやっぱり恥ずかしいですよね。(略)だから逆に、あの人たちは恥を知らないなあと思って》(『ひとり舞台─脱原発・闘う役者の真実』)

 彼の言動もけっこう恥ずかしい気もするが、恥の感覚がちょっと違うのかもしれない。だからこそ、芸能界や政界で台頭できたともいえる。

 ちなみに、芸能人としての代表作のひとつが『世界ウルルン滞在記』(TBS系)。ニューギニアの裸族と交流して、現地の男性と同じ格好になり、仲よくなったりした。私生活では、飛ぶ鳥を落とす勢いの安室奈美恵とディズニーランドデートを報じられ、彼女の初スキャンダルの相手になったこともある。そんなこんなで鍛えた度胸がプラスになっているわけだ。

 その原点が『元気が出るテレビ』。彼は政治の世界でも、あの『メロリンQ』のような奇抜で過激なことをやり続けているのだろう。

 つまり、山本は芸能も政治も人気商売ということを認識し、体現している。ただ、その人気は国会の議席の数百分の1を獲得できるレベルにすぎない。芸能も政治も、目立つだけではトップに行けないのだ。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)