病気でも治療しない“ネグレクト疑惑”

 一方のシェルターには保護した大量の。世話をするスタッフの数も足りず、多忙を極めていた。

「排泄物の処理やケージの掃除が間に合わなくて施設内はいつもすごいにおいがしていました……。動く余裕もない1段の狭いケージには入れっぱなしになっていて。捕獲器に入れられたままの子もいました。トイレにはフンがいくつも転がり、すっかり乾燥していたものも……」(元ボランティア)

 世話に手が回らずに病気が蔓延する状態だったという。

 前出の元メンバーが訴える。

を飼っている人なら本来なら1か月も下痢が続けば寄生虫や病気を疑います。ですが阪田代表は市販の人間用の整腸薬を与えて治療していると言い張る。風邪など治る病気でもたちはろくに治療もしてもらえず、病院にも連れていってもらえませんでした」

 元メンバーは阪田代表のある持論を聞いたと証言する。

が自力で回復する力に期待しているから通院させない、と言っていました。獣医師免許がないから、本来ならダメなのにワクチンを阪田さんが打っているのを見たボランティアもいます」

かつて施設内には至るところに注射器が置きっぱなしにされ、使った針が大量に捨てられていたこともあった(提供)
かつて施設内には至るところに注射器が置きっぱなしにされ、使った針が大量に捨てられていたこともあった(提供)

 には所有権があり、シェルターのは阪田代表の所有物とみなされる。そのためいくら関係者といえを勝手に受診させることはできない。

 適切な治療を受けられずに放置されれば治るはずの病であっても命を奪う。別の元ボランティアは重い口を開いた。

「私がいたころは施設内には中心的にかかわるメンバーしか知らない秘密の部屋がありました」

 助かる見込みのないたちを入れておく部屋だったと複数の関係者が証言する。元メンバーは言葉を詰まらせた。

「主人を事故で亡くし、『花の木シェルター』に引き取られたがいました」

 遺族は5匹60万円の引き取り料金を払い、花の木シェルターにを預けた。

 次の里親が見つかるまでたちは施設内で飼育される。そのため、餌代や薬代などお金がかかるので活動を継続させるためにも引き取りなど金銭を請求するのは珍しくない。それは同時に責任を持って次の飼い主に渡す証でもある。

 それにもかかわらず、引き取られたたちはみるみる体調が悪くなっていったという。ケージの中でぐったりしているを見て、元メンバーは心を痛めたという。

は腎臓を悪くしやすいので腎不全ではないかと思っていましたが原因は不明です。阪田代表が受診を許可してくれなかった。愛護センターに訴えても最初は聞いてくれませんでした」

 愛護センターが重い腰を上げ、施設に視察に来たときにはすでには亡くなっていた。

「阪田代表は一度も治療していないのに“治療した”と虚偽報告をしました。無治療でほとんど身動きのとれないケージの中で亡くなっていったんです……」