田舎での窮屈な生活の反動もあり、大学生活を謳歌した若新は“一生、大学生のような生活を送りたい”という思いからある決断をする。

「大学生は遊べて楽しいだけでなく、学ぶ場もあり成長できる期間だと思うんです。そんな生活で唯一足りないのがお金。大学生のような生活を続けながら1千万円くらい稼げれば、企業に勤めて同じ額を稼ぐよりも何倍も幸福なんじゃないかと思ったんです」

 2009年に自由業として独立。企業のキャンペーンなどを手伝うコンサルティング業を行うように。2013年には約100人のニートを集めた会社『NEET株式会社』を発足。2014年には福井県鯖江市で課員が全員女子高生の仮想組織『鯖江市役所JK課』のプロデューサーを務め注目を集めるようになる。

ロックが好きでその語源となる“価値観を揺らす”ような固定観念を壊すことが好きだったので、ニートだけの会社を始めたんです。そしたら仕掛けたことがメディアで軒並み取り上げられて、自分にこんなに企画力があったのかと(笑)。拾ってくれた大学の先生も僕の活動を面白がってくれて、プロデュース業と並行して慶應義塾大学特任准教授も兼任できるように」

TOKYO MXでコメンテーターデビュー

 NHKの『NEWS WEB』で『ニート株式会社』を取り上げる際にコメントをしたのがきっかけで、翌年2014年にはTOKYO MXの『モーニングCROSS』からオファーを受け、コメンテーターデビューを果たす。

「2015年スタートの『ABEMA Prime』も番組開始時から出させてもらっていますが、いろんな方が出ては消えていく中で今でも出させてもらっているのは運がいいなと思います」

 今では見ない日のほうが少ないほど引っ張りだこだが、番組によって見せ方を変えているという。

コメンテーターの仕事をするときは、一番正しいことを言う人ではなく、“こういう考え方もある”というのを見せる人でありたいんです。この番組ではこういった視点が欠けているなと思えば発言を変えていますね。やっぱり原点がロックなので、いろんな生き方や視点があるという多様さを見せたいんです」

 選挙特番では“推しの政治家をつくる”といったポップなワードを使うなど、若い世代にも伝わりやすい表現ができるのも彼の強みだ。

「子どものころに報道番組を見ていて難しくてわからなかったんです。大人になれば理解できるのかと思っていたけど、大学院まで進んで比較的学習する機会が多かった僕でもわからないことが多くて。今の世の中は“わからない人が悪い”という風潮があるけど、まずはわかりやすい言葉で説明することを誰かがやったほうがいいと思うし、意外とそういう人がいない。ライバルが少ないということは、自分もそれだけチャンスが増えるということですから」