職業訓練と教育

 刑務所内では、受刑者が出所後に仕事を見つけられるよう、職業訓練も行われる。

「美容師やネイリスト、ホームヘルパー、パソコンなどのスキルを身につけることができますが、誰でも受けられるわけではありません。年齢制限があり、優等生の受刑者は受講しやすいシステムでした」

 出所間近になると、社会復帰へ向けた指導を受けるため、特別な寮に移されるという。

「日常生活の体験、生活に必要な知識、保護観察や更生保護施設について学びます。ここでは刑務作業もなく、自由に生活できますが、問題を起こすと仮釈放が取り消しになり、刑務所に逆戻りなので、そこは気をつけました。朝昼晩とみんなで交代で自炊をするのも楽しかったです」

 出所するまで受刑者の多くが毎日欠かさずに行っていることがある。

「ノートに日付を書いて、毎日、それをぬりつぶして、『あと何日で出られる』と数えることです。そのノートがみんなの希望になっていました」

 最上さんは無事に出所した現在も、不安が押し寄せてくることがあるという。

「警官やパトカーを見ると、悪いことをしていなくてもドキドキして不安になりますし、刑務所にいる夢を見て飛び起きることもあります。後の人生にいろんな形で影響がありますから、刑務所には絶対入らないほうがいい。軽い気持ちで罪を犯すのはやめて! とみなさんにはお伝えしたいです」

『女子刑務所はこわいよ』(竹書房、著者最上六花・小池恵子)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
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話してくれたのは……●最上六花さん●会社の指示で有印私文書偽造と詐欺幇助を行い、2回収監された元女子受刑者。約3年間の女子刑務所での体験を漫画家の小池恵子氏に伝えて漫画制作に協力。現在は夫と子どもと穏やかに暮らしている。

(取材・文/紀和静)