(C)2022『真夜中乙女戦争』製作委員会

「去年、King & Princeとしては1年ぶりにライブ会場でファンのみなさんと直接お会いできて。やっぱり、みんなの存在って大きいなと感じました。個人としては、1年を通してずっとお芝居と向き合っていたと思います」

 2021年を振り返り、こう話してくれた永瀬廉。ちょうど1年前、主演映画『弱虫ペダル』で日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。オーディションで勝ち取った朝ドラ『おかえりモネ』では、主人公・百音の幼なじみの“りょーちん”こと亮を演じ、繊細な演技が話題に。ドラマ終了後には“りょーちんロス”が起こった。

「俳優というお仕事に関しては、いままでにないくらいの濃い1年でした。あっという間でしたね。連続してお芝居の仕事ができていることで、演技への手ごたえのようなものも感じましたし。映画『真夜中乙女戦争』の撮影も昨年で。この作品に主演として出させていただけたことで、なんだろう、自分の新境地が少しだけ開けたような気がしています」

クランクイン前に監督とした約束

 10代、20代を中心に圧倒的な人気を誇る作家・Fの同名小説を映像化した作品で、永瀬が演じるのは無気力な大学生の“私”。大学の凛しく聡明な“先輩(池田エライザ)”や、謎の男“黒服(柄本佑)”との出会いで、日常が一変し、“真夜中乙女戦争”という名前の東京破壊計画に参加することになる。

「共演の柄本さん、池田さんが素晴らしい俳優さんで、そのおふたりを近くで感じることができたのは、自分にとってすごく大きなことでした。とくに、柄本さんが演じる黒服の言葉をしっかり受け止めてお芝居する、受けのお芝居の大切さを改めて感じましたね」

 二宮健監督と「お互いが成長できる、カッコいい映画にしよう」と約束して臨んだという今作。

「約束どおり、僕自身も成長できましたし、めちゃめちゃカッコいい映画になっていると思います。監督には、“私”として話すときに声のトーンを上げず、低い声のまま抑揚がつかないよう意識してほしいと言われました。

 演じた“私”は、社会全体に敵意を向けているような、現代人が抱えている孤独や喪失感、劣等感といった悩みをギュッと固めて持っている人物。そうなると、日ごろはあまり楽しそうにはしないよなと思って。そういった表情もすごく意識しましたね」

 オファーを受けたときの気持ちを「乙女戦争なので、女の子がたくさん出るの? というのが正直な第一印象(笑)。でも、中身はぜんぜん違って、裏切られた」と語る作品で演じた“私”に共感できる部分について、

「自分が気にしなくてもいいようなことで劣等感をおぼえたり、窮屈な感じを受けたりということは、こういう時代なので、僕自身にもあります。でも、“私”と僕はあまり似ていないかな。例えば、うらやましいと思ったら、僕は素直にうらやましいと言いますし」