国内でも猛威を振るいはじめた新型コロナウイルスのオミクロン変異株。毎日、毎週、倍々で更新される新規感染者数に驚くが、そんななかでわれわれはどう向き合えばいいのだろうか

現場の医師が危惧すること

 埼玉医科大学総合医療センター(川越市)総合診療内科教授の岡秀昭医師は、感染症の専門家として日々、コロナ対応にあたる。「当院にはコロナ病床が40床ほどありますが、今(1月15日現在)入院している患者さんは、オミクロン株の方がほとんどで6人です。それでも5波を思い返せばまだゆとりはあります」と現状を伝える。

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 背景にあるのは、国が打ち出した感染者対応の棲み分けだ。軽症患者は地域の病院、あるいは自宅療養で対応し、重症患者はECMO(エクモ)などの装備が整う大学病院のようなところが診る。

 現在、同院では中等症の患者を中心に紹介が来て受け入れているが、人工呼吸器を使う重症患者はまだいない。岡医師は「(周辺地域で)当院のほかにコロナ患者さんをも診る病院が増えてきたおかげで、役割分担が進んできていると思います」という。

 その一方で、岡医師が危惧しているのは、院内クラスターだ。

 医療従事者が感染したり、濃厚接触者となったりすることで、患者を診られない状況に陥る可能性が、オミクロン株では現実味を帯びている。実際、沖縄ではそれが医療逼迫をもたらすとして大きな問題になっているが、今後は全国どこで起こってもおかしくない。

 振り返ると、第5波では急増した重症患者を受け持つ医療従事者や病床の数が足りなくなったために、入院できずに自宅待機になり、死亡するケースが問題となった。

「第6波はそれとは違う医療逼迫が起こりかねない。今後は、周囲に感染している方が身近にたくさんいる状況になるでしょう。私たち医療従事者もいつどこで感染するかわからない状況を考えると、コロナ病床にいくら空床があっても、病院が機能しなくなるおそれがあります」

 しかし、だ。

 国内でコロナの感染者が確認されてから2年あまり。未知のウイルスだった当初とは違い、今、病院では根拠に基づいた感染対策を行っている。そうした万全を期した対策をしてもなお、オミクロン株では院内クラスターが起こってしまう。それはなぜなのか。