必ずしも興行収入云々というものではありません」とは、長年にわたってアカデミー賞を取材する映画ライターのよしひろまさみち氏。

「一般的に“当たった”という映画が選ばれる保証はどこにもなく、4000人弱(3952名)いる日本アカデミー賞協会会員がふさわしいと思える作品をいくつか選び、投票する形になっています。中には大ヒット作と言われる作品も優秀作品賞に入ることはありますが、それが1位(最優秀賞)に選ばれるかどうかは別のこと」

 この「日本アカデミー賞協会」とは、映画プロデューサーや監督、脚本家などの映画製作に携わる関係者、そして実行委員会の推薦を受けた俳優や映画配給会社社員などからなる組織で、その会員による投票でまずは優秀賞が決定する。

「例えば、優秀作品賞の発表で初めて目にする、耳にする作品もあるかもしれませんし、映画ファンや一般のお客さんの意見とは食い違う部分もあると思います。それは映画作りに関わる“内側の人”が選ぶのが『日本アカデミー賞』であって、だからこそ映画界における権威ある賞とされているのです。まずは、その区別をつける必要がありますね」(よしひろ氏)

 毎年のように運営メンバーが変わるような、また記者投票などで決まる他の映画賞とは違い、“映画人”によって選出されるのが日本アカデミー賞。興行収入成績に左右されず、万人が好むようなミーハー作ではなく“骨太”な映画が好まれる傾向があるようだ。

西島秀俊を多く推す声

 そう考えると、木村の“辞退説”に疑問が生じる部分もある。実際にアカデミー賞に携わる映画配給会社関係者は「木村さんが辞退した事実があるのかどうかはわかりかねますが」と前置きしつつ、

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「言えることは、私の周囲では作品賞、主演男優賞とともに『ドライブ・マイ・カー』、そして主演を務めた西島秀俊さんを推す声が多く聞こえたということ。最優秀賞を決定する2次投票はまだ行われていませんが、本場の『アカデミー賞』でノミネートされたことは確実に追い風になるでしょう。

 興行収入だけを見ればインパクトはありませんが、ストーリーやキャストも含めていかにも映画人が選びたがる作品ですね」

 西島秀俊の主演映画『ドライブ・マイ・カー』が公開されたのは2021年8月。当初こそ『マスカレード・ナイト』の10分の1にも満たない興行収入だったが、3月27日(現地時間)に開催されるアメリカの『第94回アカデミー賞』に4部門でノミネートされると、これまでの上映館数を倍に拡大。動員数を大幅に伸ばしている。

「たしかに数字が示す通りに『マスカレード・ナイト』は娯楽映画として優れた作品ですが、日本アカデミー賞に届く内容とまでは言えない部分があります。それは映画に精通する木村さん自身がよくわかっているのではないでしょうか。つまり落選した理由は非常にシンプルで、“映画人に評価されなかった”ということ」(前出・映画配給会社関係者)

 1993年のフジテレビ系“月9”ドラマ『あすなろ白書』で共演した木村と西島秀俊。約30年経った今、ともに一線で活躍する俳優に成長した2人が、再びステージで顔を合わせれば話題性は抜群だったが、共演は叶わなかった。