さて、そこに登場するビールのブランドですが……これは、ビールのCMに多くの人気俳優が出演していることが影響してか、架空になっていることがほとんどです。これについても、最近のドラマを俎上に乗せ大調査を敢行しました。

・SUN BEER(日本テレビ系『イタイケに恋して』)
・GREAT BEER(日本テレビ系『ボクの殺意が恋をした』)
・MUSASHI(日本テレビ系『ハコヅメ』)
・マイキービール(テレビ朝日系『ザ・ハイスクール・ヒーローズ』/看板のみ登場)
・KUMCI(TBS系『婚姻届に判を捺しただけですが』)
・SUNNY(日本テレビ系『アンラッキーガール』)
・Originary Beer(日本テレビ系『真犯人フラグ』)
・DRUNKEN(テレビ東京系『シジュウカラ』)
・Gamiras‘s(NHK総合『カムカムエヴリバディ』)

 劇中、なかなかビールがアップで映ることはありません(日本テレビ系に限って、比較的多いのはなぜ?)し、判別しにくいものも多かったのですが、確認できたのは以上のものでした。

「KUMCI」というのは意味不明ですが、恐らくKIRINからインスパイアされたものでしょうか?

 また、ここでも“人気ブランド”があります。それが「AKEBONO」です。『うきわ-友達以上、不倫未満-』(テレビ東京系)、『おいハンサム!!』(フジテレビ系)と局の壁を超えて登場しています。ちなみに、この「AKEBONO」と似た「HINODE」(両方とも「ASAHI」をリスペクト?)は、NHKの朝ドラでは定番のブランドです。

実在の銘柄が登場することも

 そんななか特に興味深かったのが、実際にSUNTORYのCMに出演中の小栗旬と、KIRINのCMに出演中の杏が共演した『日本沈没』に登場するビールです。

注視していたところ、小栗旬が1人で飲むシーンでは、実際のSUNTORY(ザ・プレミアム・モルツ)で、小栗と杏が共に飲むシーンでは「IKINAMA」という架空ブランドになっていました。

こうしてドラマの中の“架空ブランド”に注目してみると、美術(小道具・持道具)スタッフの苦労と、遊び心が感じられ、感心するとともに、筆者のマニア心は十分満たされました(笑)。


小林 偉(こばやし つよし)Tsuyoshi Kobayashi ◎メディア研究家
メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。