そしてもうひとつは、番組の企画として受験するもの。ある意味、こちらは仕事の延長線といえる。

「島田紳助さんがこのパターンです。彼は共通一次試験の会場で、彼の受験阻止を訴えるグループや取材陣とトラブルを起こし、ブチギレた紳助さんが受験しないで終わってしまい、当時は話題になりました。

 みなさんの記憶に残っているのは、『進ぬ!電波少年』の企画で受験した、芸人の坂本ちゃんではないでしょうか」

拉致されて1日12時間の受験勉強

 2000年に『電波少年的東大一直線』という企画で東大を目指した坂本ちゃん。東大にはセンター試験で点数が足らず、受験することができなかった。しかしその後、私立大学入学に目標を変更。結果、8校に合格し、日本大学文理学部に進学した。前出の石渡さんは、

「一般入試での合格でしたし、企画としては大成功だったと思う」

 と振り返る。さて当のご本人の坂本ちゃんは、当時どんな気持ちで受験したのか? その胸の内を聞いてみた。

「あたくし、大学というのにすごく憧れていたんです。日大附属高校だったんですけど、内部の推薦入試に落ち、一般入試でも不合格で……。

 キャンパスをみんなで笑いながら歩いて、テニスサークルとかに入って青春するという理想があったのに(笑)。『進ぬ!電波少年』企画のオーディションの時も、大学生になりたい! の一心でした。その結果、拉致されて受験勉強することになったんですけど」

 1日、10時間、ときには12時間以上も勉強したという坂本ちゃん。東大は残念だったが、見事大学生になった。しかし、7年間在籍して中退ーー。

「今振り返ると、大学生になりたかっただけで、その後の勉強までは考えていなかったんですね(笑)。入学したのが34歳。クラスメートはみんな年下なんですよ。20歳近く離れている生徒と一緒の中で、完璧に浮きまくっていて(笑)。

 あと、『進ぬ!電波少年』のおかげであたくし、当時“旬”でしたから、ちょっと動くだけで周囲の視線を感じるわけです。もう見せ物になっている感じで……」(坂本ちゃん

 自身が商品でもあるタレントならではの悩み。これは小倉にも当てはまることだろう。1日の大半を勉強に費やした坂本ちゃん、当時は早稲田大学の第二文と社会科学部にも挑戦しているが、残念ながら不合格に。坂本ちゃんと比べて、勉強時間に費やせる時間が圧倒的に少ない小倉だが、“秘策”があるという。