とは言え日テレのバラエティー番組は強い。その理由について放送作家は「ものすごく特徴があるわけじゃないが、“なんとなく見られる”強さがある」と言う。続けて、

「日テレは安心なブランド、『とりあえず日テレつけてみるか』と、視聴者がチャンネルを合わせやすい局となっています。だからこそヒット番組も生まれやすく、似たような企画の番組でも日テレのほうが人気が高いという現象が生まれやすい。ただ、長い目でみたときに、変化をしていかないといけないですからね。それがこのタイミングなのかもしれません」

枠が変わっても見逃し配信で視聴

 人気番組を移動させるときによく問題視されるのが、いわゆる「視聴習慣」。何曜日の何時にこのチャンネルを見るという習慣が、枠を移動したときに外れてしまうという現象だが、そこも近年は以前ほど重要視されなくなってきている傾向もあると、前出の放送作家は言う。

「見逃し配信などで見る人がすごく増えたことが大きいです。以前は枠移動は大きな賭けでしたが、いつ放送していても関係ないという人が増え、ハードルが下がった部分はあります。いっぽうで、『夜ふかし』のような番組は、どの時間帯で放送してもついていくよというコアなファンも多いです。枠の時間帯が昇格すればスポンサーもよりつきますし、メリットのほうが大きいという考えかただと思います」

『夜ふかし』の番組内でも、22時からの放送ということで、極端な下ネタはやれなくなるとマツコ・デラックスも言っていた。深夜に放送していたからよかった、深夜だから面白かったという声も、深夜番組の昇格にはつきまとう。

「ネタの選び方などは、グルメ企画や人気チェーンなど、深夜に比べてファミリー向けのものは増えると思います。ただ、深夜で続けていても、番組の収益が上がるわけではありませんし、お金にならない状態で続くよりもいいスポンサーがつくならつくほうがいい。今は『深夜だからOK』『深夜だから制約がない』という部分は相当減っていますし、むしろゴールデンのほうが攻めていることもあったり、深夜との違いは実際なくなりつつあるという気がします」

 『夜ふかし』も月曜深夜に配信で視聴すれば解決(ただし下ネタ少なめ)、ということだろうか。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉