スキャンダルで好感度急降下

 しかし、好感度が上がってからの不祥事は逆に爆下げをもたらす。例えば、田中聖が覚醒剤で逮捕された際、アンジャッシュの児嶋一哉がこんなことを言っていた。

「悪そうな人がホントに悪かったんかい、ってガッカリしちゃいますよね。ウラではちゃんとしてるっていうのがカッコいいなと思うんですけど、そのまんまじゃん」

 木下もまさにこの状態なのである。

 とはいえ、人間というのはそんなに単純なものではない。ドナー登録で誰かの命を救いつつ、若手女優を性加害で傷つけるという二面性が共存することもありうるのだ。

 ちなみに、彼は独身。前述のインタビューでは、こんな発言をしていた。

「離婚したくないから結婚しないんです。結婚して離婚して……というのが多いじゃないですか。だからみんなもっと慎重にやろうぜって(笑)」

 夭折(ようせつ)した恋人の話のあととあって、まじめな結婚観にも思えたが、性加害疑惑が報道された今は違うイメージになる。ケジメをつけるのが面倒なだけだったのではとか、自分こそもっと慎重にやっておけばよかったのに、などとツッコみたくもなるのだ。こうした詰めの甘さというか、馬脚の現し方みたいなものも「イヤミ課長」と重なるところがなかなか興味深い。

 それでもこれが『スカッとジャパン』なら、誰かが懲らしめてくれるし、笑いに変えてもくれる。が、現実はドラマのようにスカッとはいかないのだ。

 今後不定期放送されるというこの番組に「イヤミ課長」の席はあるだろうか。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)