87歳になったノッポさんは今

『できるかな』終了後は、芸名を現在の「高見のっぽ」に改名。絵本・児童文学作家として活動する傍ら、『グラスホッパー物語』(NHKみんなの歌)などにも出演、紅白歌合戦にも登場するなどの活躍をしてきた高見さん。87歳となる現在は、自分が気に入った仕事を受けつつ、毎日「のっぽさんチーム」と呼ばれる老若男女たちに慕われるにぎやかな日々を送っている。

「お仕事の関係者はもちろん、最近のことを教えてくれる人、食事を作りに来てくれる人、子育ての相談に来る人、ただただ高見さんに可愛がられたい人まで、いろんな人が訪れています」(マネージャーの古家さん)

おそばをごちそうしてほしいだけな人もいるかな。なんでこんなジジイがみんなの面倒を見なくちゃいけないんだよなあ(笑)」(のっぽさん)

 小さい人だった筆者の目には、昔と同じようにおちゃめでお元気そのものな高見さんだが、年齢的な衰えを感じることもあるという。

「昨年までに2冊本を書いたら、体重が5キロ減っちゃってね。そのあと足を折っちゃって入院をしたの。病院の食事が美味しくなくて(笑)、64・5キロあった体重が退院したら50キロになっちゃいました。それで身体も弱っちゃったから、今は少しずつ身体を動かすようにしています。前みたいに元気だったらね、華麗なステップを踏んでお見せしたいところなんですが、あんまりできなくなっちゃって……今はそれがちょっと悲しいかな」

 とは言いながらも、お話を続けるうちに取材陣の前で歌いながら昔日のステップまで踏んでくれたのっぽさん。いくつになっても人を楽しませることを第一に考えている、一流のエンターテイナーに小さい人のときに出会えていた私たちは、幸せだったと思う。

今だから話せる『できるかな』裏話

今だから話せる!ノッポさん『できるかな』びっくり事件簿
●大流血!
工作の制作中、カッターナイフで指を切ってしまい、血を流したまま完成させたことが
●不器用すぎて……
放送を見ていた高見さんの父親が「正しいちょう結びを教えてあげましょう」と電話をかけてきた
●意外なところからクレームが……
ゴン太くんと遊ぶゲームは、いつでも本気で勝負して、ノッポさんは手加減せずに勝ち続けた。ゴン太くんの中の人の奥さまが「たまには勝たせてあげて〜」と悲痛な叫びを上げるほどだったそう
●ナレーションで危機一髪
紙コップでたくさんのタコを作ったノッポさん。代表のタコに挨拶をさせようとしたら、そのタコの口の部分のテープが剥がれてしまった。でも、ナレーションの故・つかせのりこさんが「おクチがトヘちゃった! ボクはタホのタホ八でーフ」とナイスアシスト!

たかみ・のっぽ 1934年5月10日、京都府太秦生まれ。1967年から20年以上『なにしてあそぼう』から『できるかな』(NHK教育)に“ノッポさん”として出演。現在は俳優・作家・歌手として幅広く活動中。『ノッポさんの「小さい人」となかよくできるかな? ―ノッポ流 人生の極意―』(小学館)『夕暮れもとぼけて見れば朝まだき―ノッポさん自伝』(岩波書店)など、著書多数。

取材・文/高松孟晋