ダチョウ倶楽部の代表的ギャグ「聞いてないよぉ」は、1993年の『流行語大賞』の大衆部門にて銀賞を獲得し、世の中は「聞いてない」人で溢れたものだ。また、3人が出だしに発する「ヤーッ」、冠番組のタイトルにもなった「つかみはOK!」(TBS系、1993年放送)もすぐに思い出される。

 他にも、熱湯風呂に入る時の前振り「押すなよ、絶対に押すなよ!」、最後に譲って落とす「どうぞどうぞ」はバラエティー番組の“鉄板”となり、「訴えてやる!」「くるりんぱ」「わきあいあい」熱々おでん芸、口論後にキス、ジャンプ芸はどれも1度は真似した覚えあり。その量と質の高さにはあらためて驚くばかりだ。

志村さんから「お前は俺の彼女か」

 無論のこと、全てが上島さんの考案ギャグではないのだろうが、彼無くしては成立しないギャグが多いのは確か。そんな芸の才能に目をかけて、公私にかわいがっていたのががご存じ、“喜劇王”志村けんさん。2人が親交を深めたのは、1997年放送の『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)。

「当時のダチョウ倶楽部といえば“バブル”が弾けた後で、人気は下降を辿っていました。そんな折に志村さんからお呼びがかかり、見習いから始めて5年でようやくレギュラーとして認められ、以後は“志村一座”にとっても欠かせない存在になりました。

 とりわけ上島さんは、志村さんから“お前は俺の彼女か”と呆れられるほどにプライベートでついて回ったそう。おそらくは芸だけでなく、人生についても厳しくも優しい指導を受けた、かけがえのない時間だったことでしょう」(前出・放送作家)

 2022年3月に対応した『週刊女性』のインタビューにて、上島さんは志村さんを次のように評している。

《バカ殿とか変なおじさんとか、同じネタばかりやっているのに、あれだけ人を魅了して、何度も爆笑をとれる人は、もう出てこないでしょうね。俺たちも『ヤー!』とか同じことばっかりやってるけど、雲泥の差ですから(笑)》

 今頃は天国で、お酒を酌み交わしながらギャグ談義をしていることだろう。

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