「住まいをシェアする」機運が高まる可能性

「異年齢が暮らすシェアハウスだと若者と助け合えるのでは、と考える人もいますが、それは若い人の負担になる。介護が必要になったとき、認知症になった場合には退去し、ほかの施設を選ぶなど、将来を想定して入居者同士で話し合っておく必要があります。介護までいかなくても家事や買い物、通院など入居者同士が助け合って暮らす必要が出ることも理解しておいたほうがいいでしょう」(満田さん、以下同)

 高齢者向けシェアハウスでトラブルにならないためにはどうしたらいいのか。

「交流や助け合いというシェアハウスの醍醐味や暮らし方を理解せずに入居するのは危ない。交流を求めなかったり、自分の我を通す、共同生活を理解していないなど入居者に配慮して生活できない場合は厳しいかもしれません」

 シェアハウスで暮らすことも含め、ある程度若いうちから終活の一環として、老後の暮らし方についても考えておく必要がある、と満田さん。

「伴侶に先立たれたり、独身で年をとったときに誰かと暮らしたい……など潜在的にシェアハウスでの暮らしを求めている人はいるかもしれません。特に今の中高年は年金も絞られている世代、経済力の差が生まれることが懸念されています。住まいをシェアし、助け合って暮らしていこう、という機運も高まるのでは。シェアハウスに入居するだけではなく、古い3LDKや4LDKの住宅で友人らと暮らす人も出てくるかも」

 前出のアユミさんとその夫はどちらかが先に亡くなった後には、仲の良い友人たちと一緒に暮らす、という計画を立てているという。人生の最後はどんな暮らし方をしたいのか─。満田さんは訴える。

「孤独で寂しく悲しい老後を迎えるよりも早めに動いて積極的に情報収集しておくことはプラスになります。老人ホームなどに入るもよし。シェアハウスや友人同士で暮らしてもいい。将来の生活にもいろいろな選択肢があっていいと思います」

お話を聞いたのは……満田将太さん

高齢者住まいアドバイザー協会代表。公認会計士。税理士。高齢者向けシェアハウスの運営サポートや高齢者住まいアドバイザー育成に携わる。メディアへの出演も多数。