「『ビリーバーズ』に出てくるカルト集団の3人を見ていると、僕たちと同じだなと思うんです。誰もが持つ信じる力がマイナスに振れることはとても怖いなとも思いますし。人間の本能がむき出しになる彼らを見て、自分を見つめ直すことができるんじゃないかなとも思います」

 9月には30歳を迎える。20代でやり残したことは、

「まだまだ、いろいろあるかなぁ? あまり年齢を気にしたくはないんですが、地上波の連ドラ主演は20代ではできなかったかな。でも焦っているわけではないです。30代になって、脂がのった状態でやりたいなと思いますね」

「自分らしさを出せる役ともまた出会いたい」

 俳優デビューは22歳。大学を2年半で中退し、役者1本で生きると決めた。学生に始まり、主演俳優となった20代は怒涛の時間だったのでは?

「そうですね。プライベートも仕事も、本当に波が激しかったですね。10代のころは、すぐにパパラッチに追い回されるようになると妄想していましたから(笑)。でも事務所になかなか所属できなかったり、オーディションに書類を出しても受からなかったり。現実の厳しさを体感するところから始まった20代でしたね」

 当時を思うと、今こうして好きな作品に出演できるようになったことは、自身で思い描いていた以上だという。

デビューが遅かった分、友人たちと普通に外で楽しく飲んだりする経験ができたことはよかったなと思っています。今は、なかなか難しくなりましたから。ありがたいことに作品が重なることもあり、精神的にいっぱいいっぱいになってしまうこともありましたが、そんな時間を持てたことも含め、充実した20代だったと思います」

磯村勇斗 撮影/伊藤和幸
磯村勇斗 撮影/伊藤和幸
すべての写真を見る

 迎える30代への展望は、

「30代に限らずですが、日本映画をもっと海外でも知ってもらえるように、日本国内でももっと多くの人に映画を好きになってもらえるように。盛り上げる役者のひとりとして、これからも作品に携わっていきたい。そして、自分らしさを出せる役ともまた出会いたいなと思っています」

7月8日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開(C)山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会
7月8日(金)よりテアトル新宿ほか全国順次公開(C)山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会

#宇野さん、ごめんなさい

 メインキャストはオペレーター役の磯村に加え、副議長役の北村優衣、議長役の宇野祥平。孤島でギリギリの物資で暮らす物語ゆえに、3人ともロケ弁はおかずに少し箸をつける程度で我慢。

「現場では3人で“これ食べたい”“あれ食べたい”という話をすごくしながら、支え合っていました。だから、クランクアップの日には海鮮丼を差し入れして、思いっきり食べたのがいい思い出です。ただその日、宇野さんだけがいなくて(笑)。“俺がいるときにしてくれよ”ってすごい嫉妬され、めっちゃ謝りました。申し訳なかったな(笑)」


ヘアメイク/佐藤友勝 スタイリング/齋藤良介
衣装協力/LAD MUSICIAN、VEIN、DIET BUTCHER、
APOCRYPHA(すべてサカスPR)、NEPLA、JOHAN SILVERMAN
(ともにティーニーランチ)、SHINGO KUZUNO(シアンPR)