'05年1月、全国高校サッカー選手権大会の準決勝。『星稜高校』本田圭佑(左)と『市立船橋高校』森野徹容疑者(本人Facebookより)
'05年1月、全国高校サッカー選手権大会の準決勝。『星稜高校』本田圭佑(左)と『市立船橋高校』森野徹容疑者(本人Facebookより)
【写真】全国高校サッカー選手権大会。本田圭佑とプレーする森野容疑者

 全国高校サッカー選手権大会の準決勝。高校サッカー部員たちが目指す“国立”の観客は2万人を超えた。その多くが視線を送ったのは、長くサッカー日本代表で“エース”として君臨したあの本田圭佑だ。石川県代表『星稜高校』対千葉県代表『市立船橋高校』。星稜高校の本田は同大会において“超高校級プレイヤー”としていちばんの注目を集めていた。そして高校サッカーの名門“市船”こと市立船橋高校のスタメンに2年生ながら名を連ねていたのが、ほかならぬ森野だ。

 後に“世界的”となる男と同じピッチに彼はいた。試合前、10番を背負う本田と握手を交わす14番を背負った森野。

「市船は高校サッカーの超名門。最大のタイトルである冬の『選手権』の優勝は5回で、全国大会の優勝回数においては高校最多です。また、選手権本大会は背番号は14番でしたが、それまでの大会では森野容疑者は15番を背負っていました。市船の15番は、“下級生エース”が背負うことの多い背番号。森野容疑者と同じく市船から高卒で磐田に入団したカレン・ロバートも下級生時に15番を付け、3年時にエースとして10番を背負った。カレンはその後ヨーロッパに渡り。現日本代表のキャプテンである吉田麻也選手とも同じオランダのクラブでも活躍しました」

本田圭佑に勝った男

 本田と森野が出場したこの試合は2-2の末、PK戦に突入。結果、市船が勝利を収めている。試合後、森野も含めて勝利に沸く市船ロッカールームを本田が悔しそうな表情を浮かべ訪れた。敗退校より受け継いできた千羽鶴を勝利校に渡す儀式だ。

 森野は後に世界へ飛び立った“本田を倒した”イレブンの1人だった。

「市船はその強さから、千葉県人以外にもファンがいるような人気校です。その市船にあって、地元船橋市出身、下級生時からスタメンで活躍し、3年生では10番を背負った彼には、千葉県人、市船ファンからの期待は大きいものでした」

 しかし、高卒後のサッカー人生は前出の通りだ。そしてそんな彼をさらなる不幸が襲う。