目次
Page 1
ー 女性よりも表面化しにくい「男性の性被害」
Page 2
ー クラスメイトの前で担任から受けた「指導」の衝撃
Page 3
ー いじめの延長で受けた性暴力
Page 4
ー “男性の性被害は対応がわからない”と言われて
Page 5
ー DVの中で起こる男性の性被害の実態

 映画界などで告発が相次いだことを発端に、性暴力への社会的な関心が高まっている。一方で見過ごされてきたのが、男性が受ける性暴力だ。

女性よりも表面化しにくい「男性の性被害」

「性被害に遭うのは女性だけ」「男性なら抵抗できるはず」といった偏見が根強く残り、被害を訴えづらい実情がある。

 そうした中、厚生労働省は本年度から、男性・男児の性被害の実態調査を始める。被害者の性別に関係なく調査をする「DV性暴力被害者の医療と連携した支援体制の構築のための研究」の中での取り組み。

 男性の性被害に関する本格的な実態把握は初めて。医療機関での支援体制について、検討を進めていく。

 男性の性被害は、女性の性被害に比べて多くはない。それゆえに表面化しにくい。

 警察庁の「刑法犯に関する統計資料」によると、「強制性交等」の男性被害者は、17年が1.4%(女性被害者は98.6%)、18年が4.3%(同・95.7%)、19年は3.6%(同・96.4%)、2020年は5.4%(同・94.6%)。

 増加傾向にあるが、女性に比べればごく少数だ。また、「強制わいせつ」に関しても男性被害者の場合、過去10年で3~4%台の推移に留まる。

 ただ、これらは警察が認知した数に過ぎない。加えて、17年に改正刑法が施行されるまで、「強制性交等」の被害対象に男性は含まれていなかった。

 性犯罪は統計では把握されない暗数が多く、かつ男性の場合、女性よりも被害を訴えにくいのが現実だ。そのため、実態が把握されにくい。被害にあった当事者自身、性暴力であると自覚しづらいことも珍しくない。

 佐々木洋太さん(仮名=40代)は小学校4年のとき、担任から「指導」を受けた。理科の時間に虫眼鏡を使った観察をする授業があり、そのとき太陽の光を当てて、副読本を焦がした。授業中には何も言われなかったが、次の授業が始まるとき、注意された。

「怒られたというよりは、“よくないことだから指導をする。前に出てこい”と言われました」(佐々木さん、以下同)

 当時、クラスの人数は30人程度。洋太さんは教壇の近くまで行き、クラスメイトに対して背を向ける形で立っていた。そこで担任は「ズボンを下ろせ」と言った。

 洋太さんは言われるままに、自分でズボンを下ろした。すると担任は、下着の上から洋太さんの性器の部分を揉んだ。