目次
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ー 「えぇ、機械の音声だと思ってた!」
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ー 機械音声のベテランで30年近くのキャリア ー 講談との出会いで新たな表現を広げる
Page 3
ー 芸能界を目指すも父からの猛反対

「友果さんを、誘拐しました」「警察に通報した場合、友果さんを、殺します」「警察に、通報しましたね─」

「えぇ、機械の音声だと思ってた!」

 4月クールのドラマ『マイファミリー』で話題を呼んだ、誘拐犯のメッセージ。愛娘を誘拐された主人公のもとに、犯人から音声が次々届き要求を告げる。その声はどこまでも無機質で、ぞわりと恐怖をかき立てた。この犯人の“声”を担当していたのが、ナレーターで声優の一龍斎貞弥さん。

一龍斎貞弥さん
一龍斎貞弥さん

「いかにも“機械で編集しています”と聞こえるように、言葉の区切る位置などかなり細かく計算していきました。ドラマを見ていた仕事仲間は、誰も私の声だとは気づかなかったらしく、後で驚かれたくらい(笑)。そういう意味では成功したと言えるのかもしれません。ただ犯人の声を担当した私自身、誰が本当の犯人なのか最後まで教えてもらえず、オンエアを見て初めて知りました(笑)」

 最終回の放映後、番組公式ツイッターが「実は犯人の声はこの人でした」と一龍斎さんの収録風景を紹介。“えぇ、機械の音声だと思ってた!”“あの人の声だったんだ!”と大反響を巻き起こした。

「犯人の声をどんな音声にするか、当初かなり迷っていたようです。AIの読み上げる合成音でいくか、Siriのような音声にするか、いろいろなアイデアが出てきた中で、カーナビの声はどうだろうという話になったらしく……。そうした音声でということだったのでやりやすくはありましたね」