テレビ番組を作るテレビマンと呼ばれる人々。その劣化を象徴するような番組作りを目の当たりにした。

 俳優の谷原章介(50)が司会を務める朝の情報番組『めざまし8』(フジテレビ系)。9日放送のコーナーでは交通事故が取り上げられた。

 テロップには【独自取材 信号無視…追突後に逃走 ドラレコに“暴走の瞬間”】と記されている。

ドラレコ映像が38回も繰り返された

 先月16日、千葉県習志野市でおきたタクシーと一般車の衝突事故。その映像を独自ものとして取り上げている(既視感があるが、今回の疑問点はそこにはない)。

 だが、一体どこが独自取材なのかわからない。つまり取材している場面としては、事故から3週間後の現場の映像と、タクシー会社の同僚の映像コメント等があるだけ。とても“独自”と胸を張れる内容ではない。

 事故映像の使い方があまりにもくどい。安直すぎる。

 コーナーが始まったのが8時10分。交通事故を伝える時間帯は9分間続いた。その間、ドライブレコーダーの映像として流された事故の瞬間を含めた事故前後の映像は、都合38回! 

 事故に遭ったタクシーのドラレコ、交差点手前で止まっていた車のドラレコ、この2台の車の映像、つまりたった2本の映像を、何度も何度も、長くしたり短くしたり、音を入れたり音を消したりしながら使い続けたのである。編集が大変だったろうな、と同情もしたくなるが。

 同じ映像を複数回使うことを、テレビ業界では「こする」という。

 何の工夫も発想もなく使う安直さをあてこする意味合いもある「こする」を使えば、まさにこの番組は「こすりすぎ」だ。まるで洗脳映像のように、繰り返されたのだ。自動車運転免許の更新講習の事故映像だって、ここまで同じ場面をこすらない。

 途中、谷原やSPキャスターでタレントの武井壮(49)らがコメントするが、彼らの顔はインサート(小さな小窓)で抜かれ、メインの画面の7~8割が事故の映像で占められていた。

 あおり運転や交通事故に関して情報番組が伝える際、繰り返し怒鳴り声や衝突現場を映し出す。それが近年の番組作りの確かな傾向だ。防犯カメラやドライブレコーダーなどに映像が残り、その提供を受けたテレビ局が、“独自もの”として放送する。

 ディレクターがナレーション原稿を付けるが、大抵は映像をなぞったものに終始する。

 今回も「交差点に入ろうとしている車」で車の映像。「画面中央の信号は青です」で信号の映像。「交差点に入ったそのとき、猛スピードで入って来た」で別の車が突っ込んでくる、というそのまんま、見たまんまのナレーション原稿……。

 9分間のコーナーの内、途中CMが2分間あったので、実質的には7分間のV(動画)。もう少し短いコーナーで編集していれば、こんな緩慢なVにはなりようがないが、コーナーの時間が割り当てられ、そこにネタをはめていくのがテレビ局の作り方だ。

『めざまし8』ではその後、「このような悪質なもの、ほかにもございます。悪質な逃走犯です」として、先週月曜日、群馬県の飲食店でとらえられた防犯映像を放送した。レジから現金を取り出す犯行現場がバッチリ映っているが、ここでも、同じ映像が10回以上、繰り返し使われていた。

 テレビ局が衝撃映像と呼ぶ映像の、工夫のない使い方は、こすりすぎをとおり越して垂れ流しに近い。

〈取材・文/薮入うらら〉