現在は、貯金が50万もない男性

 ひろみさん(35歳、仮名)は、大学を卒業して以来、ずっと公務員として働いています。真剣交際に入っているひろしさん(40歳、仮名)は、店舗を構えて仕事をする年収900万円の自営業者です。

 真剣交際に入った後、結婚後に2人で住む新居を探しに行きました。2人の職場の中間地点の地域で駅からの徒歩圏内に、住みやすそうな2LDKのマンションを見つけました。そこをひろしさんの名前で契約しようとしたのですが、後日、「入居審査が通りませんでした」という連絡が不動産屋さんからありました。

 それを不審に思ったひろみさんが、ひろしさんを問い詰めると、コロナが蔓延して以来、客足が遠のき、逼迫している経済状況がわかったのです。

 ひろみさんは、私に連絡を入れてきて言いました。

「プロフィールにある年収900万円は、相談所に入ったときの年収のようです。店舗を構えているので、お客さんが来なくても月々の家賃や維持費はかかっていく。この2年半、貯金をきり崩してやりくりしてきたというんですね」

 今年に入ってから、少しずつ客足は戻ってきているというのですが、現在、貯金が50万円程度しかないことがわかりました。

「『それじゃあ、結婚式も挙げられないし、指輪も買えないじゃない』って言ったら、『キミは公務員で、収入が安定しているから、大丈夫でしょう』っていうんですよ」

 さらにこんなことも言われました。

「2人で住むマンションも、僕じゃなくてひろみちゃんが契約してくれないかな」

 ひろみさんは、私に言いました。

「もちろん、私は家庭全ての経済を男性に頼るつもりはありません。夫婦は助け合って生活していくものですが、最初から、私の稼ぎを100パーセントあてにしているのもどうかなと思うんです。自分の経済状況がこんなに逼迫しているのに、それを全く伝えずに『真剣交際に入ろう』と提案してきたことにも、結婚しようと考えていることにも、責任感のなさを感じました」