“トンデモ美容法”がウケるわけ

 また、特に肌に関してはきゅうりやはちみつを使ったパックのような“トンデモ美容法”が受け入れられやすい事情もあるようだ。

「肌の悩みは、“たまたま自然に”良くなることがわりとあります。例えば軽いニキビであれば放っておいてもいつか治るわけです。そのため本当は効かない治療法や芸能人のマネをしたら“治った”と感じて感謝する人もいる。肌に関しては不正確な情報であったとしてもそれが検証しにくい面があります。これが誤解が広がってしまう理由としてあります。間違った治療法をやって治りが遅くなっていても、それを本人が気づくことはあまりありません。

 実は放っておいたらもっと早く治って、もっときれいになった可能性もあるのに、間違った認識でその治療法に感謝して終わってしまうという。また同じ理由でインフルエンサーも自分がやってみて“効いた”と間違った認識をして、紹介しているケースもあるのではないかと考えます」

 人間の免疫機能が優れているがゆえに、間違ったやり方がより拡散してしまう。“いつまでも綺麗でいたい”というのは多くの人の願いだろう。しかし、ただ“流行っている”、“あの人がやってた”などで判断することの無きよう……。

〈参考文献〉
※1. 千貫 祐子. 経皮感作と食物アレルギー. 西日皮. 2018; 80: 419-424.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishinihonhifu/80/5/80_419/_article/-char/ja/

※2. du Toit G, et al. Prevention of food allergy. J Allergy Clin Immunol. 2016; 137: 998-1010.
https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(16)00288-8/fulltext

※3. 猪又 直子, ら. 韓国伝統美容キュウリパックによる接触蕁麻疹の一例. J Environ Dermatol Cutan Allergol. 2008; 2: 344.
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902242101394153

※4. Inomata N, et al. Food allergy preceded by contact urticaria due to the same food: involvement of epicutaneous sensitization in food allergy. Allergol Int. 2015; 64: 73-8.
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https://www.fujita-hu.ac.jp/news/dubv6r0000001rc3.html

※6. Yagami A, et al. Outbreak of immediate-type hydrolyzed wheat protein allergy due to a facial soap in Japan. J Allergy Clin Immunol. 2017; 140: 879-881.e7.
https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(17)30574-2/fulltext

※7. 国立医薬品食品衛生研究所 (2013). 食物アレルギーをめぐる最近の話題-加水分解コムギ含有石鹸の事例-. (閲覧日 2022-09-02)
https://www.nihs.go.jp/kanren/shokuhin/20131116-dnfi.pdf

※8. 厚生労働省 (2010). ○加水分解コムギ末を含有する医薬部外品・化粧品の使用上の注意事項等について. (閲覧日 2022-09-02)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6538&dataType=1&pageNo=1

※9. Lack G, et al. Factors associated with the development of peanut allergy in childhood. N Engl J Med. 2003; 348: 977-85.
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa013536

※10. Fujimoto W, et al. Anaphylaxis provoked by ingestion of hydrolyzed fish collagen probably induced by epicutaneous sensitization. Allergol Int. 2016; 65: 474-476.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1323893016300363