元民放制作者によると、キョンキョンは若いころからプロ意識も強い。

「バカなことをやるように頼んでも不思議なくらい嫌がらない。よく“お仕事ですから”と言ってました。一方、明菜さんはそうはいかない。納得しないとやってくれない。それもプロ意識なのでしょう。その点、2人は正反対でした」(元民放制作者)

 正反対だから2人は親しくなったのか。ほかにもキョンキョンには特徴がある。「3人姉妹の末っ子のせいなのか、昔から芯が強い」(同・元民放制作者)という。

 デビュー前後は父親の会社が倒産し、一家が散り散りになった時期。だが、周囲が家庭のことを聞いても嫌がらず、それどころか明るく「あー、父は家でお酒ばっかり飲んでますよ」と答えていた。

「MCをやったら成功する」

 プロ意識が強いので仕事とプライベートはきっちり分ける。オフにはスッピンで街を歩くこともある。

「表参道もスッピン、普段着で歩いていました。1日中、芸能人であるのを嫌う人」(前出・レコード会社幹部)

 だから、仕事を離れると自身のツイッターで個人として「#検察庁法改正案に抗議します」(2020年5月)などの政治的意見も発信する。芸能人も1人の市民なので、意見を言えるのは当たり前だが、それを批判する人もいる。

 だが、芯の強いキョンキョンはひるまない。昔から人間性を縛り付けられるのが嫌なのだ。最近のインタビューでもアイドル時代をこう振り返った。

《大人たちは勝手に“アイドルはこうあるべきだ”とか“子どもはこうあるべきだ”とか、型にはめようとしたり、プレッシャーを与えたりしがち。だけど、“ちょっと待ってよ”と思いました。彼らの望み通りになれないことに罪悪感を感じてしまうのは、すごく良くない》(毎日新聞デジタル8月30日付)

 これからのキョンキョンはどんな道を歩むのか。前出・元民放制作マンは「頭は良いし、2005年から10年間にわたって読売新聞の読書委員をやっていたくらいで、猛烈に本を読んでいるから、MCをやったら成功する」と語る。

 アイドル、CM女王、女優として歩んできたキョンキョンのアラ還の仕事として向いているかも知れない。キョンキョンがMCの音楽番組に仲の良い明菜が出演したら、80年代アイドルのファンは快哉を叫ぶのではないか。

 問題は現在のキョンキョンが「やりたいことを好き勝手にやっている」ということ。キョンキョンにとって、はたしてMCや明菜との共演はやりたいことだろうか?

『夜のヒットスタジオ』で談笑する、中森明菜と小泉今日子
『夜のヒットスタジオ』で談笑する、中森明菜と小泉今日子
【写真】小泉今日子と豊原功補がお忍びでバーに来店
取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。