ダニの温床、寝室のダニ対策

 ダニアレルギー対策の本丸、それが寝室だ。熱がこもりやすく、寝ている間に人間がかいた汗を吸収している布団まわりは、ダニにとって最高の環境。特に上半身の胸から上が接している部分は、皮脂やフケなど、ダニが餌とする汚れが多い場所でもある。そんな布団のダニ対策。病室清掃のプロである松本さんはどうしているのだろう。

「ダニを繁殖させないためにやるべきなのは、とにかく清潔を保つこと。枕カバーやタオルケットなど、洗濯できるものはこまめに洗います。基本的なことですが、これが最も大切です」

 頻繁に洗うのが難しいものは、汚れやすい部分にタオルなどを敷いておき、それだけ交換するのがおすすめ。簡単なことをこまめに続けてみよう。

 アレルギー被害を抑える対策はほかにもある。「布団をたたんだり、整えたりする際、バサッと大きく動かさないこと。それだけで相当な数のアレルゲンが部屋中に舞い上がります。おすすめは、粘着クリーナーの使用ですね」

 そのほか、ダニ対策で見落としがちな場所が、台所の隅や引き出しの奥。実は、料理に使う小麦粉などの粉類もダニの大好物。うっかりこぼしたままにしておくとダニの温床に。

実は誤解だらけ! 要注意なダニ対策

 一方、よく聞かれるダニ対策の中には、あまり意味がない、または注意が必要なものもある。

 まずは、布団の天日干し。「乾燥させて湿気を除く目的なら意味はありますが、天日干しの温度ではダニを“殺す”ことはできません。干した布団を叩くのはまさに逆効果ですね。そんなことでは減りませんし、ひたすらアレルゲンを舞わせることになり、アレルギー発症のリスクを自ら高めるだけの行為です」

イラスト/武曽宏幸
イラスト/武曽宏幸

 掃除機による吸引は? 

「布団やカーペットの奥に入り込んだダニは、掃除機で吸いきることはできません。また機種やかけ方にもよりますが、排気口から出る風でホコリが舞ってしまわないように十分に気をつけましょう」

イラスト/武曽宏幸
イラスト/武曽宏幸

 さらに、布団乾燥機の使用も、実はダニの死滅を期待するのは難しい。乾燥機の熱によってダニを退治しようとしても、たいていの機種では、布団全体を一気に、そして均等に高温にできるわけではないので、比較的温度が低い場所にダニが移動するだけだ。

 これらを踏まえて、松本さんは言う。

「ダニやダニのフンをすべて取り除くのは不可能です。ただ、きちんと対策をすれば量は減らせます。そして、ダニアレルギーのいちばんの対策は、アレルゲンを吸わないこと。正しく対策をすれば、ダニアレルギーの被害を受ける確率はグッと下がります」