一方で、ご夫妻としては'76年にご訪英。ロンドン郊外にあるウィンザー城での2泊3日を美智子さま、エリザベス女王とともに行動され、女王が運転する車に乗られたり、乗馬をされたりして楽しまれたという。

上皇さまは当時のことを“深く心に残っております”と振り返っておられます。また、'98年には天皇即位後初めてとなるイギリスへの訪問をされましたが、“エンペラー・ノット・カム”といった怒号や日の丸小旗が燃やされるなど、反日感情を向けるイギリス国民は少なくありませんでした」(前出・英王室ジャーナリスト)

上皇ご夫妻は“特別扱い”だった

 その状況下で、上皇さまは天皇として次のようにお気持ちを述べられている。

「両国の間に二度とこのような歴史が刻まれぬことを衷心より願うとともに、このような過去の苦しみを経ながらも、その後計り知れぬ努力をもって、両国の未来の友好のために力を尽くしてこられた人々に、深い敬意と感謝の念を表したく思います」

 このお気持ち表明に関して、当時の英国タイムズ紙は「抗議と和解の日」と見出しで伝え、多くのイギリス国民から喝采の声が上がった。それから14年後の'12年、女王の即位60周年記念行事に出席のため上皇ご夫妻は渡英された。

イギリス王室は公式ツイッターでエリザベス女王の死去を公表した
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上皇さまは、この訪英の3か月前に心臓の手術を受けられたばかり。体調が万全ではない中で祝賀行事に参列されたのは、エリザベス女王との深い絆があったからです。

 ちなみに、このとき催された昼食会に招かれた各国王族らのうち'53年の戴冠式にも出席しているのは上皇さまとベルギー前国王のみ。20か国以上の君主や王族が招待されましたが、イギリス王室が公式サイトに掲載した写真はわずか3枚でした。その中の1枚には、上皇ご夫妻の写真が選ばれています」(上皇職関係者)

 もちろん、エリザベス女王が美智子さまに与えた影響も大きい。皇室を長年取材するジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡邉みどりさんによると、

「エリザベス女王は、伝統を守りながらも、王室に常に新しい風を取り入れる努力を続けておられました。そのようなお姿が日本の皇室に与えた影響はとても大きいのです。
とりわけ美智子さまは、エリザベス女王のエレガントな立ち居振る舞いだけでなく、公務に励む献身的な姿勢を学ばれていたと思います」