「良いことをしたら、良いことがあるとは限らない」と考えるより、「良いことをしたら、良いことがある」と信じるほうが、不安にならないで行動できるでしょう。なので、強い不安を抱えている人ほど「良いことをしたから、いい結果が出た。悪いことが起きるのは、本人に悪い部分があった」と信じたいのです。個人の倫理観として「良いことをすると、良いことがある。悪いことをすると、悪いことが起きる」と信じて行動することに何ら問題はありません。

 しかし、自分が抱えている不安から逃れるために「良いことをすると、良いことがある。悪いことをすると、悪いことが起きる」と信じた場合、たとえば「貧困家庭は、本人たちの努力不足」とか「女性が性被害に合うのは、女性がそれを誘発するような行動をしたからだ」と見当違いな他責につながる可能性があるのです。

他罰や他責の思考はヤバいブーメラン

 もう一つ「自業自得論」の怖いところは、他責が強い人ほど、自分がアクシデントにみまわれたとき、立ち直れなくなってしまうこと。なぜなら、「悪いことが起きたのは、自分か悪いからだ」と思うわけですから、問題を人に相談したり、助けを求めることができなくなってしまうのです。「自業自得」という言葉を使う人は、心理学的な観点から見ると不安が強いと言えますが、強い女ウリしている菜々緒も、実は不安の強い人なのかもしれません。

 因果応報は「因果はめぐる」というふうに言い換えられることもあります。因果応報が本当にあるのか私にはわかりませんが、他罰や他責というヤバさはめぐりめぐって自分に返ってくるのではないでしょうか。人を責めたいときは、自分が不安な状態にあるのか考えてみるといいかもしれません。