六本木で開催された志村けん誕生日会に参加する菜々緒(2013年)
六本木で開催された志村けん誕生日会に参加する菜々緒(2013年)
【写真】するめもセクシーに食べる菜々緒など

「自業自得」発言がヤバい理由は、他にもあります。たとえば、夫が何の計画も相談もなしに仕事をやめてしまったとしましょう。一般論で言えば、黙って仕事をやめてしまった夫は何を考えているんだろうと言われるでしょう。しかし、菜々緒のような「自業自得論」で言うと、それは「そういう夫を選んだのは、自分が悪い」わけですから、夫の不始末は、全部妻の責任となってしまうので、結果的に夫はやりたい放題になってしまうのです。

 仕事を急にやめないとか、大きな買い物をするときは相談するとか、不倫はしないなど、夫婦によっていろいろなルールがあると思いますが、「自業自得理論」では、ルールを破った人がトクをし、ルールを守る側が精神的に追い込まれてしまうのです。

悪いことをすると本当にバチがあたるのか?

 自業自得と言えば、心理学には「公正世界仮説」というバイアス(思い込み)があります。子どものころ、「悪いことをするとバチがあたるよ」と言われたことがある人は多いと思いますが、「良いことをすると、良いことがある。悪いことをすると、悪いことが起きる」という考え方が「公正世界仮説」です。四字熟語に置き換えると、「自業自得」のほかに「因果応報」もあてはまると言えるでしょう。「良いことをすると、良いことがある。悪いことをすると、悪いことが起きる」のは真実で、思い込みなんかじゃないという人もいるでしょう。しかし、部下にセクハラ、パワハラを働いていた上司が出世を遂げるなど、世の中に理不尽なことは多々あります。それなのに、どうして「良いことをすると、良いことがある。悪いことをすると、悪いことが起きる」と信じてしまう人がいるのか。それは、人が持つ潜在的な不安が影響していると言われています。