実際、主人公あっこの姑・セツコは、みつはしさんの姑・ヨネコさんがモデルだ。

「本人もセツコさんのモデルだって意識をしていたので、セツコさんの失敗話なんかを書くときは大変でした。私はすごい夜型だから、朝、姑が起きる前に日曜版をコッソリ隠したりしてね。結局見つかっちゃうんだけど(笑)」

振り返れば、カンヅメも楽しい思い出

胸にギュッとくるようなポエムもみつはしさんの魅力。週刊女性PRIMEのために書き下ろしてくれた60年目のふたり
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【写真】連載60年!今も続く『小さな恋のものがたり』はカレンダーなど関連商品も豊富

 担当編集といえば『ちい恋』の担当は新卒で入り、定年まで担当を続けたという女性編集者だ。一緒に行き当たりばったりの旅をしてイラスト誌を作ったり、ピーク時の締め切り前にはホテルにカンヅメにさせられたことも。苦楽を共にした仲間だ。

 いまもフリーの編集として関わり続けている彼女も、みつはしさんの“後ろ向きの思い出”をつくってくれた1人だろう。

「美人でちゃっかり屋さんの彼女はもちろんですが、私はどんな人でも漫画のネタにしちゃう。ちょっと憎たらしいような人でさえも必ず可愛い面、面白い面があるんです。人が好きなんですね」

 気が滅入るようなつらいニュースも多い最近だが、

漫画家は楽しい仕事。読者が楽しい気分になれる作品を描いていけたらと思います」

 まだまだ描きたいテーマがある、とみつはしさん。

「最近だと、主人公が喜寿、77歳のおばあさんの漫画です。私が体験した年齢で、でも気持ちの中はずっと少女のおばあさんのお話。私だって時々“あれ、私81歳になってる? 気持ちは17歳のままなのに”ってなりますから」

 チッチは17歳のまま、60年がたった。身体が77歳になった新たなる主人公のこれからを楽しみに見守りたい。

みつはしちかこ
漫画家。1941年、茨城県生まれ。幼少期から絵や詩、漫画に親しむ。高校時代の漫画日記をもとにした4コマ『小さな恋のものがたり』でデビュー。以来、数々の賞を受賞。近著に『小さな恋のものがたり第46集』(Gakken)など。