軽症なら内服治療、重症はエクモ使用も

 もし重複感染がわかった場合、どのような治療を受けることになるのだろうか。

「軽症の場合は発熱や咳などに対する対症療法とインフルエンザ治療が基本となりますが、重症化のリスクがあると判断された場合は新型コロナとインフルエンザ、それぞれの抗ウイルス薬が処方されることもあります。

 コロナ治療薬がインフルエンザにも効いたり、またはその逆で抗インフルエンザ薬がコロナにも効くということはないので、重複感染の場合はそれぞれの薬を併用することになります」

 さらに重篤化した場合は、それぞれの抗ウイルス薬の点滴やステロイドの投与などが行われることもある。

「ほかにも、重症化が進めば人工呼吸管理や体外式膜型人工肺(ECMO)などの専門的な医療も使用されます。軽症ですむことが多いとはいえ、新型コロナもインフルエンザも死亡リスクのある感染症であることをしっかりと理解し、何よりもまずは予防に努めていただくことが重要です」

 新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えて、今できることは何だろうか。

「こまめな手洗いやうがい、アルコール消毒、人混みでのマスクの着用など、基本的な感染対策はこれまでと同様に継続していただきたいと思います。また、現在は新型コロナワクチンインフルエンザワクチンの同時接種が可能となっています。

 どちらも接種後すぐに免疫がつくわけではないので、特に重症化リスクが高い方については、接種できるタイミングで早めに両方接種しておくことも考えておいてください」

 感染予防のほかにも、感染した場合に慌てないための十分な備えも重要だ。

「特にコロナの検査キットはぜひ常備しておいてください。最近は研究用などのいろいろなキットも出回っていますが、購入の目安として“第1類医薬品”と書かれた、国が承認しているものを選ぶことが大切です。厚労省のサイトに案内があります。

 また、解熱鎮痛薬や咳止めなどの常備薬は第7波の時にどこの薬局も品切れになりました。第8波に差しかかった現在、流行のピーク前に購入しておくのがいいでしょう。体温計、衛生用品などもストックを確認しておくとよいでしょう」

 ほかにも、食料品や経口補水液などの飲料を含め、急な感染時にも自宅療養ができる備えをしておくと安心だ。

「症状がある際に出歩かないことは、感染拡大防止の観点でも非常に重要です。地震などの防災訓練と同じく、もし家族や自分が感染したときにどう行動するかを事前にシミュレーションしておくことも、いざというときに慌てないためにも大切だと思います」

 長引くコロナ禍で「感染対策疲れ」を感じる人も多いだろう。一方、この3年間で感染症に対する知識や、効率よく感染予防ができる環境は着実に整ってきたともいえる。この冬の同時流行を無事に乗り越え、明るい春を迎えるためにも、今が踏んばりどきだ。

土屋 裕(つちや・ゆたか) 日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、アレルギー専門医。昭和大学関連病院や海外での勤務を経て、2020年に『医療法人長生会 江東豊洲はるそらクリニック』(東京都江東区)を開業

(取材・文/吉信 武)