発熱のほか、呼吸が苦しくなることも

「新型コロナの単独感染と比べて、重複感染の場合は人工呼吸器を必要とするリスクが4.14倍、死亡するリスクが2.35倍に上昇するというデータも出ています。ただし、現在流行しているオミクロン株とインフルエンザウイルスとの重複感染では、重症化の知見はまだ十分ではありません」

 そもそも新型コロナとインフルエンザの症状は似通っており重複感染特有の症状はなく、検査をしてみないと重複感染をしているかどうかはわからないという。

「共通する症状としては、発熱、倦怠感、節々や筋肉の痛み、咳、痰、鼻水、喉の痛みなどが挙げられます。重複感染で重症化すると呼吸困難や意識障害などの重篤な症状が出ることもあります。

 軽症であればどちらも症状は一般的な風邪と似ていますが、感染力の強さや肺炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性の高さなどは、風邪とは明確に異なる点です。さらに同時に感染した場合、肺炎による呼吸不全や持病の悪化のリスクが高くなるため、特に高齢者や合併症のある方は十分な注意が必要です」

 では、いざこういった症状が出た場合、どう行動することが望ましいのだろうか。

「政府の方針としては、65歳以上の方や基礎疾患のある方など、重症化リスクが高い方については、これまでどおり発熱外来の受診をすすめています。

 一方で、若年層などの重症化リスクが低い方については、まずは市販のキットなどを使って自分で新型コロナの検査をして、陽性の場合は健康フォローアップセンターへの登録後、自宅療養をしていただくことになります。陰性の場合は、改めて診察やオンライン診療などを受け、インフルエンザと診断された場合はできるだけ速やかに治療を受ける流れになっています」

この冬の同時流行に備え、国はワクチン接種のほか、検査キットや解熱鎮痛薬などの常備、電話相談窓口の事前確認を推奨している
この冬の同時流行に備え、国はワクチン接種のほか、検査キットや解熱鎮痛薬などの常備、電話相談窓口の事前確認を推奨している
【写真】コロナとインフルエンザ同時流行に備えるものは

 医療機関の逼迫を避けるための苦肉の措置ではあるが、市販のキットによる自己診断やオンライン診療、慣れない自宅療養などには不安を抱く人も多いだろう。

「重症化リスクが低い方は発熱外来を受けてはいけないということではありません。本当につらい症状などのときには医療機関を受診し、適切な治療を受けることも必要です。

 一方、第7波のときに医療現場は本当に切実な状況だったことも理解していただいたうえで、軽症でリスクの低い方には自宅療養やオンライン診療といった選択を考えてもらうことも必要になってきているなと実感しています」